ステロイドでは完治しない、症状をおさえこんでいるだけ

新米医師がアトピーになるのは

アレルギーやうつなどの心の病気にとって、ストレスが大敵です。精神的ストレスがどういう仕組みで免疫力を下げるか、ということも今では科学的にわかっています。

ストレスが加わると、脳の視床下部に影響を与えます。そうすると、ACTHという副腎皮質を刺激するホルモンが分泌され、それによって副腎皮質がコルチゾールというホルモンを分泌します。

このコルチゾールが多量に出ると、免疫機能の低下をもたらすのです。

ちなみに、コルチゾールはアトピーの治療薬として利用されています。いわゆるステロイドという名前の薬です。ステロイドは、免疫反応を落として炎症を抑制するのですが、もちろん、この治療法は一時的なごまかしでしかありません。症状は緩和されても、結局はリバウンドを起こすなどして、根治するのは難しいのです。

また、ストレスが加わると、一方で交感神経を興奮させる、ということが起こります。すると、副腎髄質からアドレナリンが、視床下部からノルアドレナリンが分泌されます。この2つは負の感情を引き起こすものとして知られていますが、免疫力をも低下させてしまいます。

つまり、ストレスが加わると、この2つの経路で免疫力の低下が起こるわけです。

多くの学生は医学部にいる間はアレルギーがまったくありませんでしたが、研修医になった途端にアトピーを発症させることがよく見られます。

これはストレスを受けた結果、免疫力が低下したことが原因です。彼らは医学部に入ったときは、もう有頂天です。みんなからチャホヤされるし、楽しく遊ぶ余裕もあります。ところが、研修医になったとたん、深夜に急に呼び出されたり、たくさんの患者さんを診なけれぼならなかったりで、急にストレスを受けるようになった結果だと思うのです。

楽しいと免疫力があがるのは

ストレスの原因になるのは悲しいこと、苦しいこと、つらいこと、嫌なことなどです。そういう感情が起きると、体は免疫力を低下させます。それでは楽しいときは、脳のなかでどんなことが起きるでしょうか。そこを科学的に説明しましょう。

感情が変化すると、間脳が刺激を受けて、POMC(プロオピオメラノコルチン)というたんばく質を作り出します。ここまでは、悲しいことがあったときも、楽しいことがあったときも同じです。

このPOMCが悲しいときにはアドレナリンやノルアドレナリンのような悪玉ペプチドに分解されます。これがNK細胞活性などをはじめとする免疫力を低下させるのです。

一方、楽しいときはこのPOMCがドーパミンやβ -エンドルフィン等の善玉ペプチドに分解されるのです。結果、免疫力が上がり、NK細胞の活性も上昇するわけです。

よく、仕事や人生がうまくいくための方法として、「プラス思考をしましょう」「楽しいことを考えましょう」といったことが言われますが、それは「免疫力が上がって元気になる」ことを意味するのです。

精神的ストレスを強く感じるようなときは、「心が免疫をつくる」ことを思い出してください。そして、何とかマイナス思考を食い止めて、できるだけ自分が心から「楽しい」と感じることをしましょう。そうすれば、免疫力が上がり、心身の健康を維持・向上させることが可能になります。

褒めるだけでアレルギは、快方に向かう

アレルギー体質の人は、ストレスのかかる環境にいるだけで、免疫力が低下しやすく、症状を悪化させてしまいます。

アトピーの名医と言われる10名の先生方が口を揃えて言うのは「子どもをたくさん褒めてあげると、症状が改善する」ということでした。

アトピーの子どもたちはどうしても気分が沈みがちになります。またストレスを受けやすくなっていて、それが免疫力が低下させ、症状がますます悪化する、という悪循環を生んでしまいます。

そうならないように、アトピー症状の改善が認められない場合でも、子どもを褒めるのだそうです。
「だんだん良くなってきたよ。がんばってるね。この調子でいこうね」そん豊美をかけて、風船をあげる。たったそれだけのことで、本当に症状が改善されていくというのです。

アトピーの子どもを持つお母さん方はつい、「かいちゃダメ! よけいにひどくなっちゃうでしょ」と叱ったり、「何か、前よりひどくなっちゃったわねぇ」などと落ち込ませることを言ってはいないでしょうか?

そう言いたい気持ちをぐっととこらえて、「あら、ほっぺがキレイになったね」「治ってきたね」など、褒め言葉に変えて声をかけてあげてください。子どもは嬉しくなって、その分ストレスが軽減し、免疫力が上昇することになるのです。それが症状改善への一番の近道なのです。

イメージトレーニングで免疫力アップ

「楽しいことを考えると免疫力が上がる」ということは、ガンの再発を抑える治療にも利用されています。

サイモントン療法といって、いわゆるイメージトレーニングなのです。スポーツ選手などがよく、「デッドヒートを勝ち抜いて優勝し、表彰台に立つた自分の姿」みたいなものをリアルにイメージして、そのイメージを現実のものにする、というようなことをしています。

それと同じで、ガンになった人にも同じようなイメージ療法を行います。「あなたのなかにガン細胞がいます。その姿を心に思い描いてみてください。そのガン細胞と戦うNK紳胞がどんどん大きくなってきました。そうして、ガン細胞を食べちゃいます。ほら、ガン細胞が弱ってきましたね」

こんなふうにNK紳胞がガン細胞をやっつけるイメージをリアルに思い描くと、それは楽しいことですから、免疫力が上がってくるのです。

もちろん、抗ガン剤を飲んだり、放射線治療を受けたりするのと並行して行うのですが、この心理療法は非常に効果的なようです。
ガンに限らず、楽しいことをイメージするだけで、免疫力を高めることは可能です。

心がガンを治した例

楽しいことをしたり、考えたりすることで、症状が改善するということは、ガンの世界ではたくさんあります。

たとえば、北海道にいる友人に、お腹の調子が悪くて北大病院で診てもらったら膵臓ガンで、「余命2ヶ月」を宣告された人がいます。彼は3人の子どもたちを集めて、こう言いました。

「私の命はあと2ヶ月らしい。振り返れぼ、家族旅行なんて一度もしなかったね。今生の思い出に、私をハワイに連れていってくれ。昔、私はハワイで働いていたことがあるんだよ」

子どもたちはみんなニートだったのですが、朝から晩まで一生懸命働いて旅費を貯めました。友人はハワイを夢見ながら、その夢が現実になる日を心待ちにしていました。

そうして、本当にハワイへ家族旅行に行くことができたのです。その家族旅行がとても楽しかったらしく、彼の病状はみるみる良くなっていきました。それで、彼は図々しくも、「だいぶ調子が良くなってきたから、もう1回、ハワイに行きたい」とお願いしたのです。

すると、子どもたちはまた一生懸命働いて、父親をハワイに連れていきました。すると、彼は車椅子もいらなくなるくらい回復しました。それから、5年経ったいまも元気にしています。

ガンであったり、他の病気でも、余命わずかだと宣告されたとき、気持ちを明るく保つのは難しいことでしょう。それでも、何とかがんばって、「ガンをやっつけて、元気に楽しく生き続ける自分」をイメージする。それも治療の一部であることを覚えておいていただきたいと思います。

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免疫力の主力は腸内細菌

脳のストレスは腸に影響する

地球上には、脳がない生物は多数います。腔腸動物がそうです。それでは、彼らはどこから指令を受けて、行動しているのでしょうか。それは腸なのです。ヒドラのような生き物を観察していると、膿が脳の原型であることがよくわかります。

腔腸動物から進化してきた人間の腸にはたくさんの神経叢が集中しています。これは、ほかの臓器には見られない特徴で、腸が「第二の脳」と呼ぼれる所以です。だから、強いストレスを受けると、心にダメージを受けると同時に、お腹の具合も悪くなるのです。

「今日は学校に行きたくない」「会社に行きたくない」などの日に下痢をしてしまった経験は誰にもあるはずです。

実際、ストレスに満ちた現代社会では、検査しても異常がないのに、下痢や便秘を繰り返す便通異常の人が増えています。「過敏性腸症候群」とか「機能性便秘」、さらには出勤途中の電車で駅に着くたびにトイレに駆け込む「各駅停車症候群」といった腸障害は、21世紀になって急増しているのです。

日本語には「腸が煮えくり返る」とか「腹が立つ」「腹が据わる」「腹に据えかねる」「腹に落ちる」「腹に据えかねる」「腹を決める」「腹を探る」など、「腹」のつく表現がたくさんあります。それも、脳(=心) と腸(=腹) とが繋がっていることの表れです。

腸内細菌は脳に「幸せ物質」を運んでいた!

下痢や便秘は多くの場合、強いストレスが加わることによって、自律神経のバランスをくずし、腸管の運動が乱れることが原因で起こります。便通異常を起こすと、腸内細菌が減少することもわかっています。それも、善玉菌が著しく減っていくのです。

免疫反応は大腸に棲む腸内細菌の数や種類が決めていますから、腸内細菌が減少すると当然免疫力は低下します。

逆に、ストレスがない状況では、便通異常は起こらないし、腸内紳菌のバランスも保たれて、健康でいられます。腸内細菌のバランスが良ければ、免疫力が上がってストレス耐性が強くなる、という見方もできます。

つまり、ストレスと腸管運動、免疫反応は、トライアングルのように連携して、心身の健康にいい意味でも悪い意味でも循環をもたらすわけです。

そこで重要になってくるのが、免疫力を上げることです。その免疫力は「70%が腸管の働きで、残リ30%は心で決まる」ときれています。

腸が喜ぶにはまず、腸内細菌が喜ぶものを食べることがポイントになります。抗菌剤や防腐剤などが使われている「人工的な食べ物」を極力避けて、日本の伝統食に象徴される食事をするのがベストでしょう。

あと「30% が心」ですが、この部分でも腸内細菌は貢献しています。腸内細菌は「幸せ物質」を脳に運ぶからです。

たとえば、最近増えている「うつ」の原因の1つは、脳のなかのセロトニンという「幸せ物質」が不足していることです。

このセロトニンのもとになるのは、トリプトファンというアミノ酸です。栄養学者などが、「うつを改善するために、肉や魚、大豆、ピーナッツ、乳製品など、トリプトファンを豊富に含む食品を食べなさい」と口にしますがそのとおりなのです。

ただし、いくらトリプトファンを摂取しても、それをきちんと分解して吸収できるようにしてくれる腸内細菌がいないと脳に送られません。腸内細菌が心の部分でも非常に重要だ、ということです。

うつとアレルギーは同時に増える

現代人は腸内最近が少ないことからアトピーなどのアレルギーになる人が増えてきました。それと同じことが、うつ病にもいえます。ここ10年で、有病率が2倍以上になっているのは、アトピーやぜんそくなどのアレルギー性疾患とうつ病なのです。アレルギー性疾患とうつ病とは同じような増加曲線を措いています。その大きな原因の1つはやはり、腸内細菌が減ってきたことにあると思います。

こんな仮説はどうでしょうか?

「自殺率の低い国の人たちは、食物繊維をたっぷり摂っている」

実際にメキシコは自殺率が非常に低い国ですが、世界で最も食物繊維を摂っている国としても有名です。

自殺の原因としてよく、「経済的に追い詰められる」ことが指摘されていますが、メキシコは貧しい国です。それでも自殺者が少ないのは、食物繊維が豊富なトウモロコシや豆をたくさん食べているからではないでしょうか。

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つまり、メキシコ人は腸内紳菌を豊富に持っていて、その腸内細菌が脳に「幸せ物質」を運んでいるから、経済的に困窮するなどの状況があっても、たくましく生きていけるのではないでそうか?

食物繊維を摂ることは、野菜や豆類など植物性の食品をたくさん食べれぼいいだけですから、そう難しくはありません。「うつ」などの心の病気を予防するには、食物繊維をたっぷり摂って、腸内細菌から解決していくのも1つの方法ではないでしょうか。

ぽかぽかの体でうつを治すでは体を温めることでうつを改善するものですが、体を温めることもとても重要です。

免疫のバランスは西洋医学では答えがだせない

寄生虫の分泌物から薬ができる

寄生虫の分泌物がアレルギーを抑えることを突き止めると「これは花粉症やアトピー、ぜんそくなどを一発で治す薬になる」と考えました。

いま、「遺伝子組み換え食品」が話題になっていますが、これもこういうやり方でつくられています。

そうして寄生虫の分泌物をたくさん手に入れると、次にネズミにアトピーを発症させて、この物質を投与する実験に入りました。ネズミにストレスを与えるため、ネズミが食事しょうとすると必ず尾っぽに電流を流すという方法です。

ネズミは餌を食べようとするたびに尾っぽに電流を受けるとひどくストレスを感じます。

生き物にとって、食べるという行為は生きるということです。この実験を繰り返すうちに免疫力がひどく落ちて、1ヶ月もすると大変にひどいアトピーになってしまいました。

よくお母さん方は子どもの食事中に「こぼしちゃダメ」「残しちゃダメ」「落ちたものを拾っちゃダメ」などと叱ったり、「もっと勉強しなさい」などと小言を言ったりしていますが、食事中にストレスを与えると、子どもの免疫力が落ちてしまいますので、注意してくだきい

「食事は楽しく」というのが、免疫力を下げない鉄則でもあるのです。

次に、皮下の肥満細胞がどんどん破れてひどいアトピーになったネズミに、寄生虫の分泌物を注射しました。その結果、1回の注射でひどいアトピーがすっかり治ってしまいました。けれどことはそう簡単ではありません。

アレルギーは治ってもガンになる!

「新薬」はアトピーを一発で治したのですが、これを薬として用いると、ウィルス感染やガンになりやすい体質になってしまうことが判明したのです。看過できない重大な副作用です。

人間の免疫には、アレルギーなどに対抗する液体性免疫をつくるTh2 と、ガンなどに対抗する細胞性免疫をつくるThlという2つの工場があります。「新薬」を投与すると、Th2が強大になるかわりに、Thlを小さくしてしまいます。Thl とTh2による免疫バランスを崩してしまったのです。

人間の体には、毎日3千個、多い人なら7千個のガン紳胞が生まれています。それなのにガンにならないのは、NK細胞や、Thlが産生するインターフェロンなどが、日々ガン細胞を監視して、見つけてはやっつけてくれているからです。

そのガン退治に重要な役割を果たすThlが小さくなると、出てくるガン細胞を見逃してしまう可能性が高くなるのです。年をとるとガンになりやすいのも、Thlが小さくなるからです。

寄生虫の分泌物は、Th2の機能を高めてアレルギー反応を抑えたもののTh1の機能を低めてガンになりやすい体質にしてしまったのです。

ここで「それならば、Thlを大きくする薬を開発して、同時に投与すればいいじゃないか」と思う人もいるでしょう。私もその可能性を探りました。しかし、寄生虫からTh1を刺激する物質を探して注射したところ、それに対する抗体ができてしまったのです。結局、この物質を直接お腹に入れないとダメなんだとわかりました。

理論上はお腹のなかにチェンバーという箱を入れて、そこから抗原物質を吸収するようにすれば可能ですが、そんなことは現実問題不可能です。これを人間の体内でやってのける寄生虫はすどいと、再認識したしだいです。

ここに至って、アレルギーを一発で治す「新薬」の夢は絶たれました。結果、わかったのは、「アレルギーやガンのような免疫バランスに関わる病気は、西洋医学的アプローチでは解決できない」ということです。

西洋医学は、1つの薬で1つの病気を治すというものです。西洋医学から見るとアレルギーを一発で治したのですから、そのような新薬を発見した勝利者といえます。しかし、ガンやアレルギーなどのバランスの病気には西洋医学は無力で、東洋医学的なアプローチが必要なのです。

東洋医学は、人間の体を総合的に診て、いろんな成分を含む自然の生薬を投与したり、体温を上げたり、バランスのいい食生活にしたりすることを指導します。つまり、自然治癒力を導き出すようにしたのです。ところが、よかれとして作ってきた現代社会は、そういった自然治癒力を低下するように誘導してきたのです。

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