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最近の日本人の腸内細菌はどんどん減少している

便の量でわかること

人間がほぼ毎日排泄する便の約半分が、生きている、あるいは死んでいる腸内細菌です。

便1g当たりに約1兆個の細菌がいると言われています。私たちが食べたものは、食道、胃を経て腸に入り、約7mもの距離を移動しますいわゆる消化です。
なかでも一番長いのは小腸です。その長さは約6mあり、表面にはたくさんの襞や絨毛と呼ばれる細かい突起が生えています。切って広げると、その表面積はテニスコート1面分、約200㎡もあります。

この小腸で、食品中の成分を認識し、栄養分を吸収しています。そうして「残りカス」が大腸に送られ、ここでも吸収されなかった「残りカス」がさらに直腸にいって溜められます。

これが便なのです。だいたい24~72時間はど直腸で溜められて、量が多くなった時点で脳に刺激が伝わり、排便されます。現代人の正常な便は150~200gくらいです。戦前は350gほどあったのですが、食物繊維の摂取lが減ったことで、食生活の変化とともに便も欧米化してきたということです。

便の中身を詳しく知る

食物繊維は腸内を掃除してくれます。便の量を増やし、有害物質を吸着して体外に出してくれるのです。それによって腸内を、ビフィズス菌などの腸内細菌が棲みやすい環境に整えるわけです。

パプアニューギニアの住民は、主食にイモ類、副食に野菜と豆類だけを食べていました。どれも食物繊維が豊富に含まれた食品ばかりなので、免疫力も強くなっていました。食物繊維をたっぷり摂るので年齢よりも若くとてもフレッシュでした。

便が小きくなっている現代人は、腸内細菌が減っているということが考えられます。食物繊維が少なくなって、腸内細菌のバランスを崩している可能性があります。

便が小さくて貧弱なのは、腸内フローラが異常をきたしている証拠なのです。事実、小さな便には、ビフィズス菌が非常に少なく、かなりの割合で悪玉菌が増えていることが証明されています。
現代人の排便量は少ない

便が小さい(量が少ない)はアレルギーになる

腸内細菌が減少することとアレルギーの間には、深い関係があります。それは、腸内細菌が分泌するたんばく質にはアレルギーを抑える働きがあるからです。

腸内細菌が少なければ、それだけアレルギーを招く危険が高まることがわかっています。現実に、小さくて貧弱な便をするお母さんから生まれた子どもたちの多くが、アトピーやぜんそくなどに苦しんでいます。お母さんの腸内フローラがバランスを崩しているために、赤ちゃんがその影響を受けてしまうのです。

ちなみに、立派な便とは、つやのある黄土色で、バナナのような形状をしています。匂いもあまりきつくないのが特徴です。逆に、色が黒ずんでいたり、赤かったり、形が細切れだったり、コロコロに固かったり、水分が多くて泥状だったり、強い匂いがする便は腸内細菌のバランスが崩れている、あるいは食生活が乱れている、ストレスがある場合に見られます。

便は健康のバロメーターなのです。腸内フローラを整えるためにも、常にチェックするように習慣づけます。

腸内細菌は健康のバロメーター

年齢で変わる腸内フローラ

アレルギーを治療するうえでは、「自然治癒力」という東洋医学的発想を持つことが重要です。

「自然治癒力」とは、人間が生まれながらに持っている、病気やケガを治す力のことをいいます。皮膚常在菌やデーデルライン乳酸菌、腸内細菌なども自然治癒力のひとつです。

その「自然治癒力」のなかでも最も大きな部分を担う腸内細菌についてです。

ひとくちに腸内細菌と言っても、驚くくらいの種類と数があります。詳細な研究によると、大腸には500種類以上、100兆個以上の細菌が棲息しているといわれています。ひとつひとつの細菌の重さは限りなく0に近いけれども、総重量は約1.5kgにも達するといいます。

これら無数の細菌が腸のなかに「腸内フローラ」と呼ばれる「細菌のお花畑」を形成しているのです。

その「腸内フローラ」は年齢とともに変化します。乳幼児期の腸内にあるのは90%以上がビフィズス菌です。いわゆる善玉菌で、悪玉菌と呼ばれる大腸菌やウェルシュ菌などはどくわずかです。

ただし、これはあくまでも一般的な話です。実年齢は年寄りでも、腸年齢は若い人もいます。逆に、実年齢は若くても、腸は老年期のような人もいます。

実際、テレビ番組で20代の若い女性の便を調べたところ、通常は腸内細菌の10~15%を占めるビフィズス菌が0.01%以下だったことがあります。彼女はど飯を炊いたことがなく、お菓子ばかり食べていたそうです。

彼女のように腸内細菌が「老化″」していると、出産した場合、子どもはかなり高い確率でアレルギーになります。胎児期に十分な免疫力を分けてもらえないからです。

いずれにせよ、体の元気は腸がつくるわけですから、いくつになっても腸年齢が若いに越したことはありません。腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌類を増やす必要があります。

自分の腸内を自己チェックするならこちらです。
実際の年齢よりも老けて見られてしまうことが多い人に | Health Check

善玉・悪玉・日和見のバランスが大事

ここで「善玉菌」「悪玉菌」という言葉を使いましたが、本来は腸内細菌に善も悪もありません。

たしかに、善玉菌の代表である乳酸菌群は、腸のなかを酸性にしています。多くの有害な菌は酸性状態では生きられないので、乳酸菌は外来の有害な菌からの攻撃を防ぐ作用があります。

また、ビフィズス菌の菌体成分には、免疫力を増強する物質が含まれることがわかっています。「善玉」と呼ぶのにふさわしい働きをしてくれるわけです。

では、悪玉菌はどうでしょうか。

たんばく質やアミノ酸を分解して、インドール、フェノール、アンモニア、硫化物、アミン等の有害物質を生成します。これらの物質が腸から体内に送り出されると、さまざまな臓器が障害を受けます。

それで高血圧やガンなどの生活習慣病を起こしたり、老化を早めたりするため、悪玉菌と「悪者」扱いされるわけです。

しかし、こういう悪い作用は、増えすぎるから起こるのです。善玉菌がたくさんいて、悪玉菌を抑えてバランスを保っていれば何も問題はないのです。健康な人の腸にも、悪玉菌がいるのは、良い働きもしているという証拠です。

それに、たとえば大腸菌には、ビタミンを合成したり、他の有害な細菌が大腸に定着するのを阻害するなど、私たちを病気から守ってくれる働きもあります。大腸菌は増えすぎると悪さをしますが、良いこともしているのです。

だいたい日本人は、善玉・悪玉に分けると、善玉ばかりものすごくかわいがって、悪玉をとことんいじめ抜く傾向があります。

善玉・悪玉に分けたとしても、悪玉菌は決して「いらないもの」ではありません。加えて腸内細菌には、善玉・悪玉の中間というか、ふだんは人間に良いひよりみことをしているけれど、体調を崩すと悪さをする「日和見菌」と呼ばれる細菌もあります。

大事なのは、大きく分けて3種類の腸内細菌善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスがとれていることなのです。

「善玉菌いっぱい、日和見菌はどはど、悪玉菌少々」が、腸内細菌類の最もバランスがとれた状態です。

O-157は清潔なところで猛威を振るう

なぜ、大腸菌は悪者扱いされるのでしょうか。おそらく、江戸や明治の時代に、「東京湾の水は汚染されていて、大腸菌が見つかった。ということは、コレラ菌や赤痢菌もいるかもしれない」ということで、大腸菌が汚染の指標になったことが始まりでしょう。
しかし、大腸菌そのものは悪くはありません。たとえば、私たちが食べる野菜の主成分、繊維質(セルロースを分解してくれるのは、大腸菌をはじめとした腸内細菌なのです。

そんな大腸菌を私たちは抗生物質や殺菌剤でいじめました。しかし、大腸菌も生き物ですから、生き延びることに必死です。人間のいじめに何とか抵抗しようと、遺伝子を変えたりしながら約200種類くらいの「変種」を生み出しました。その157番目に生まれたのが「O-157」なのです。

このO-157は毒素を産生する菌です。ただ、全部で100のエネルギーがあるとしたら、そのうちの70を毒素の産生に使うので、生きる力は30ほどしかありません。生きる力が弱くとてもヤワな菌です。だから、雑菌の多いところでは生きていけません。屋台や掃除をあまりしていない台所のように、雑菌だらけのところにいたとしても、すぐに雑菌に殺されてしまいます。

したがって、世界一清潔なな学校給食の場でO-157が猛威を振るえたというわけです。

その運び屋と疑われたのがカイワレダイコンです。無菌で育った野菜だからです。土から生えた大根だと、いろんな菌がいますから、O-157などすぐに雑菌に殺されてしまって運び屋にならないというわけです。また、O-157を飲み込んでしまっても、みんなが下痢を起こすわけではありません。腸に「大腸菌」が多く存在するとO-157が追い出されてしまいます。

実際、大阪の堺でO-157が流行したときに小学生の便を調べたところ、O-157がたくさんあるのに一度も下痢をしていない子どもが30 %もいました。

一方、ちょっと下痢をした子どもは58% で、何度も下痢を繰り返して入院するほどの重篤な症状をきたした子どもは12% でした。
追跡調査をしてわかったのは、O-157で重症になった子どもはみんな、山の手の一戸建てに住む子どもたちでした。お母さんが清潔に対して非常に神経質で、子どもに泥んこ遊びもさせていませんでした。一方、一度も下痢をしなかった子どもは、揃って下町育ちでした。泥んこ遊びをする子たちだったのです。

O-157が存在するのは、大腸菌をいじめたアメリカ、カナダ、日本、ドイツ、イギリス、フランスなどの「キレイ社会」だけです。インドネシアには存在していないのです。

アレルギーと予防接種

BCGを受けた子供は免疫力が高い

ほとんどの人は、子どもの頃にBCGという予防接種を受けたはずです。これは、結核菌による感染を予防する生ワクチンです。以前は、生後4歳未満の乳幼児と小学1年生を対象に、まずツベルクリン注射をして、検査の48時間後に腫れ具合を判定します。その腫れが9ミリ以下だと陰性で、BCGを接種していました。

現在は、5年ほど前に結核予防法が改正されたことにより、対象年齢が生後6ヶ月未満に引き下げられています。乳幼児期に重症結核にならないよう、早期に予防することになったのです。それにともない、ツベルクリン反応検査は行わないようになっています。

ところで、BCGを受けた子ども、なかでも追加免疫を受けた子どもほど花粉症になりにくい」というデータがあります。これは耳鼻科の先生方が言い始めたことで、結核菌が花粉症を抑えていることがわかりました。

結核菌は、細胞内寄生菌(病原菌)の増殖を抑制する働きがあり、この免疫系が強いとガンを抑え、またもう1一つの免疫系が強いと花粉症だけではなくアトピーやぜんそくなどのアレルギーにもなりにくくなります。結核菌はこの2種類の免疫系を強くするのです。ちなみに、丸山ワクチンというのは、結核菌のそういう作用を利用した薬です。

またアレルギー反応を抑えるのは、回虫や結核菌ばかりではありませんでした。結核菌などに加え、もっとも効果的な働きをしているのが、私たちの腸のなかに棲む腸内細菌だったのです。

抗生物質は免疫力を低下させてしまう

「感染症には抗生物質」と、相場が決まっています。微生物が産出する化学物質である抗生物質には、細菌の活動を抑える作用があります。誰でも風邪をひいたときなど、抗生物質を処方された経験があるはずです。

しかし本来、抗生物質は細菌にしか効果がありません。たいていの風邪はウィルス性なので、抗生物質は本当は効かないのです。

医師が抗生物質を処方するのは、風邪で抵抗力が弱っている人は、他の細菌の影響を受けやすいからです。元気なときは免疫システムが正常に機能しますが、病気になるとふつうなら何でもない菌が抑えられずに、何らかの感染症を起こす危険があるからだと考えられています。

つまり、風邪のときの抗生物質は、感染症の予防という意味合いで処方されているわけです。

しかし、風邪のときに抗生物質を使うと、逆に風邪が治りにくくなることがわかってきました。そればかりでなく、体の免疫力が低下してしまうことが明らかにきれたのです。
抗生物質は風邪の原因ウィルスに効かないばかりでなく、免疫システムに関わる他の菌にも作用して、その活動を抑制したり、腸内細菌のバランスを崩したりすることになるのです。

つまり、抗生物質によって腸内細菌が大幅に滅菌された結果、免疫システムが変調をきたし、アレルギー症状が誘発される危険があるということなのです。
しかも、抗生物質を使いすぎると、皮膚常在菌や腸内細菌などの一部が「耐性菌」に変異する場合があります。耐性菌とは、抗生物質に抵抗性を持つ菌のことで、細菌が生き残りをかけて、「やられてなるものか」と抗生物質に対して抵抗性をもってしまった結果です。

実際、抗生物質を多用きれた子どもで、中耳炎を起こす菌が耐性菌となり、なかなか治らない、といったことも起こっています。

さらに、そんな耐性菌が増えると、いくつもの抗生物質に抵抗性を持つ多剤耐性菌も出現してきます。それが大規模な院内感染につながるなど、問題が深刻化しています。

現代の子供たちは、多くが過保護に育てられているが、これは免疫力は低下させてしまう

長男、長女は、アレルギーになりやすい

TVで時代劇などを見ていると、将軍家の子どもたちには早死にする人が多いことに気がつきます。

将軍の跡取り息子は、「蝶よ、花よ」と大事に育てられ、ちょっと転んだだけでお付きの者たちが大騒ぎします。食事も、お腹をこわしてはいけないと煮たものぼかりを食べさせられていました。

言ってみれば、将軍家の子どもたちは無菌室で過保護に育てられた状態だったために、子どもたちの免疫力が低下して病気になりやすかったのかもしれません。

現代の子どもたちには、そんな将軍家の跡取り息子と似たようなところがあるのかもしれません。

親として、子どもをウィルスや細菌から守り、極力清潔な環境のなかで育てたいと願う気持ちはわかります。しかし、それが過保護になったり、清潔すぎる環境を与えることにつながるのです。

ここに興味深いデータがあります。1つは、兄弟の数が多いほど、アレルギーになる子どもは少ない、というものです。

ひとりっ子だと、どうしても子どもに手をかけすぎてしまいます。何かにつけて「バッチイ、バッチイ」と子どもの行動を制限し、「ご飯の前はちゃんと石けんでキレイに手を洗いなさい」などと口やかましく言い、衣服や寝具などの子どもの肌に触れるものは抗菌グッズで揃える…といった具合になります。
しかし、兄弟が多いと、みんなに目が行き届かない分、少しいい加減になって、その結果アレルギーが抑えられたのです。

また、第一子ははかの兄弟に比べてアレルギーになりやすいこともわかっています。

お母さんも第一子には、神経質に手をかけ育てるのでしょう。第二子、第三子になると、いい意味で手を抜くのはどこの家庭も同じなのです。現実的に第一子のように全員に時間とお金をかけていたら大抵もちません。

たとえば、第一子には必ずほ乳瓶を煮沸して洗っていたけれど、第二子以降は煮沸しなくなります。あるいは、おっぱいをあげるときに、最初の子には乳首を消毒していたけれど、次の子からはそのまま飲ませるなど、子どもをあまり清潔にしすぎないように育てることになり、アレルギーを抑えられたのです。

同様の調査がイギリスでも行われていますが、結果は同じでした。

早くから保育園に預けられた子どもは強い!

親が手をかけすぎないという部分では、早くから保育園に預けられた子どものはうがアトピーになりにくい、というデータもあります。
保育園には、大勢の子どもたちがいて、いっしょに遊んでいます。オモチャなどその辺に転がっている物をみんなが触り、その手をしゃぶったり、つないだりしながら、自然とウィルスや菌にさらされる機会が多いのです。そのおかげで、幼いうちから免疫力がつくのです。

一方、家で子育てをしているお母さんは、子どもの一挙手一投足を見ていますから、たとえばテーブルや床に落ちたものを拾って食べようとしたり、オモチャを触った手を口にもっていったりすると、つい「汚い!」と叱ります。

また、部屋を神経質なくらいキレイに掃除したり、子どもの触れる物を消毒したりで、賢明に子どもをウィルスや菌から守ろうとします。それが逆効果になって、アレルギーを発症させてしまう結果になるのです。また、母親が働いている場合には、子どもがアレルギーになりにくいこともわかっています。

子どものアレルギーを予防する食事のルール

土の上の餌をついばんでいる地鶏と、ハウスのなかで人からもらっている餌を食べているブロイラーというニワトリと、どちらが元気でしょうか。地鶏の肉とブロイラーの肉と、どちらがおいしいでしょうか。地鶏が元気だったり肉がおいしいのは、土の上の餌を食べるときについでに土壌菌も口にいれているからです。私たちの最近の研究によると、土壌菌を腸内に入れると腸内細菌が元気になることがわかりました。

子どもをアトピーにさせない方法として、「第一に、子どもの食べものは主として落ちたものを食べきせること。第二に、食事中に必ず足の指をなきせることだ」という持論があります。それを聞くと全員が「非常識だ」と言いますが、私の言っていることが常識であって、それを笑うみなさんのはうが非常識なのです。

乳幼児が何でもなめたがるのは、バイ菌を体内に入れようとするためで、彼らはそれが健康にいいと、本能的に知っているのです。

泥遊びが最高

子どもたちほ遊ぶことが仕事です。しかし、都会では子どもたちの遊び場が減り、ゲームの登場もあって、外で遊ぶ子がめっきり減ってきたようです。

幼稚園に始まる「お受験ブーム」で、お勉強に忙しい子どもたちが増えている、という現実もありますが、健康のためにも、心の発育のためにも、外で少しでも泥んこになって遊ばせることが健康につながります。

「泥遊びをしている子どもには、アレルギーが少なく、部屋でゲームなどの「一人遊び」をしている子どもは、アレルギーになりやすい」ということが判明しています。

子を持つ親1万人余りを対象にしたこの調査では、「屋内の遊びが多くなった」「全体として友だち同士の遊びが少なくなった」と答えた人のうち、40%前後の子どもがアレルギーになっていたのです。

泥のなかには、人体内に入ると長くない細菌も確かにいます。しかし、その細菌がいる確率はきわめて低いのです。一方で、子どもの免疫力を高めることに役立つ菌もたくさんいます。そういった菌にまったく触れさせないと、体の免疫力が弱まってしまうのです。

したがって、「抗菌砂」で遊ぶと、かえって免疫力が落ちてしまうのです。

「公園の砂場で子どもを遊ばせるのは汚いです。犬や猫の便があるし、砂にはバイ菌がいっぱいです。抗菌砂に替えましょう」と、以前はよく業者が売り込みをかけていたようです。

外遊びから帰って来たら、きちんと手洗いすることは必要です。しかし、殺菌成分の強い薬用石けんではなく、ふつうの石けんを使いましょう。
また、休みの日にはどんどん、アウトドア体験をさせてあげましょう。自然と触れ合い、泥んこ遊びをすると、免疫力が高まるだけでなく、楽しい気持ち灯もなります。

母乳はアレルギーの発症を抑える

動物の赤ちゃんは母親の便をなめる

コアラの赤ちゃんは、生まれるとすぐ土をなめたり、お母さんの便をなめたりします。これは、土のなかやお母さんの便のなかにある細菌類をお腹に入れないと、コアラの餌であるユーカリという毒のある葉を無毒化できないからです。

コアラの赤ちゃんは、生まれながらにしてユーカリの葉を無毒化する酵素を持っているわけではありません。だから本能的に、土をなめたりお母さんの便をなめで、自分の腸内細菌を増やそうとするのです。

パンダの赤ちゃんも同じです。パンダの体には餌の堅い笹の葉を消化する酵素がないために、生まれるとすぐに土をなめたり、お母さんの便をなめて細菌をお腹に入れます。腸内細菌が笹の歯を消化してくれるからです。

また、ウサギは下痢をすると、元気なときの自分の便を食べます。この行為には「腸を元気に保ってくれている細菌を膿のなかに取り入れて、腸内環境を整える」という目的があったのです。つまり、元気な動物の便に含まれる腸内細菌は、ある意味で「腸内環境を整える薬」と考えることができます。

人間も同じです。でも、誤解しないでください。「便をなめなさい」と言っているのではありません。「自分の便を汚いからと無視しないで、毎日ちゃんと見てください」、「腸内細菌には重要皇息味があるのだから、むやみに悪者扱いしないでください」ということです。

無菌で育てられた赤ちゃんは弱くなる?

お母さんのお腹のなかにいる赤ちゃんは無菌状態にあります。栄養はへその緒を通して、血液から吸収しています。

そして、この世に生まれ出た瞬間に、大腸菌をはじめとする細菌が一度に入ってきます。生まれてくるときに通る産道や、お母さんの肛門付近にいる細菌たちと触れ合うことにより、いつの間にかたくさんの腸内細菌が赤ちゃんのお腹に棲みつくようになるのです。

これは自然の摂理で、いわば腸から栄養を吸収するための準備のようなものなのです。腸内細菌は、赤ちゃんが口にしたものを分解・合成して、栄葺につくりかえてくれるからです。

以前、アトピーが治らない赤ちゃんの便を調べたことがありましたが、その結果、40%の赤ちゃんの便から大腸菌がまったく検出きれませんでした。まるで生まれてすぐ無菌室に入れられ、無菌の栄養を与えられたような状態で育てたのでしょう。

そんなことからも、大腸菌をはじめとする腸内細菌にはアレルギーを抑える働きがあると推察されます。

さて、そんな生まれたばかりの赤ちゃんに必要なのは、お母さんのおっぱいです。母乳には赤ちゃんの免疫機能を高める効果があることはよく知られています。

では、母乳のどんな成分が、赤ちゃんにとっていい働きをするか紹介します。

  • オリゴ糖
    ビフィズス菌の餌となって腸内のビフィズス菌を増殖させます。
  • ラクトペルオキシダーゼ
    腸のなかに入ると抗菌作用を発揮します。
  • リゾチーム
    細菌の細胞壁を溶解させます。
  • ラクトフェリン
    鉄と結合することにより、腸内有害菌の増殖を抑制します。
  • 補体成分
    白血球などによる会食(異物を捕食する)作用を促進します。
  • 分泌型IgA
    腸管や気道における細菌・ウィルスの感染を防御します。

このように母乳のなかには体を防御するすばらしい物質が入っているのです。とくに生後3週間くらいまでの初乳には、腸内有害菌の増殖を抑制したり、腸管を成長させるなど、理想的な免疫システムを構築する作用があるのです。

アレルギーのない環境

幼い頓に身につけた免疫力

私が子どもの頃に育った環境というと。父親が結核の専門医だった関係で、私は人気のない田舎につくられた国立の結核療養所の敷地にある宿舎で育ちました。

病原菌の巣と目される宿舎から小学校に通っていたので、大変いじめられました。しかし、私はいじめられても死のうなどと思ったことは一度もありませんでした。いじめっ子と戦いながら自然のなかで元気いっぱいに遊んだものです。

いじめに負けない強い心を持つことができたのは、小学校低学年から世話をしていたヤギのおかげかもしれません。毎朝餌をやり、乳を搾り、天気の良い日は小屋から草地に出してやり、本当にかわいがっていました。
私が学校から帰って来ると、姿の見えないうちからヤギのメェメェ鳴く声が聞こえたのです。ヤギのはか、ニワトリを30羽、ウサギを5羽飼っていたこともあって、自分より弱い者がいることを学びました。

そんな経験から、ペットを飼うのは子どもにとって大変良いことだと思います。情緒面の発達から見て、大き皇息味があります。また、遊びといえば、田んぼでドジョウを捕ったり、カエルをつかまえて肛門に麦わらを突っ込み、そこから息を吹き込んでお腹をパンパンに膨らませたり、トンボの尾を切って飛ばしたりしました。

少年時代は、いつも泥んこになって転げ回っている自然児でした。

ぉかげで私は、70歳を過ぎてもなお、いたって健康です。大人が「汚い」と顔をしかめるような環境のなかで自由に遊び、細菌やウィルスにさらされる機会が多かったため、幼いうちに免疫力がついたのだと思います。

お腹の中は回虫がいっぱい

子どもの頃の私のお腹には、回虫がいました。1950年代は、それが当たり前でした。

とくに私は、畑に行ってトマトを丸かじりしたり、収穫後の白菜の根っこを生でむしゃむしゃ食べたりしていましたから、回虫がいつもお腹にいました。回虫はだいたい生野菜から体内に侵入します。当時は肥料が人糞で、発酵させて使っていましたが、なかには少し「ナマの人糞」が残っていることもあったようで、その人糞のなかに、回虫の卵がそれこそうようよといたわけです。回虫は1日に20万個の卵を産みますからすぐに感染してしまいます。

日本人はそのころ生野菜などは食べず、お漬物か煮物、せいぜいおひたしにして食べていました。それが、回虫を無防備に体内に取り込ませない知恵でした。
しかし、畑で生野菜を食べていた私のお腹のなかは「回虫だらけ」になったのです。

戦後になって、各市町村に「寄生虫予防会」が組織され、小中学校を中心に「回虫駆除デー」が設けられました。きっかけは、アメリカ人が日本に進駐したときに、生野菜を食べたら回虫だらけだったことでした。西洋では日本と違って肥料に人糞を使わなかったので、野菜を生のサラダにして食べる習慣があったのです。当時、日本に駐留したアメリカ人は、免疫のないまま一気に大量の寄生虫が体内に入ったため、お腹をこわして、相当苦しんだようです。

日本で人糞を肥料にするようになったのは、徳川家康が四十万人の兵を連れて関東にやって来たときからです。関東の土地は痩せているので、四十万人の食料を確保するのが大変でした。それで、人糞を肥料にして、野菜を育てることにしたことがきっかけです。

だから、江戸時代は便の値段がものすごく高かったのです。長屋の大家さんが長屋の便をすべて管理しており、「家賃はいらないから立派な便をしてくれ!」と言ったとか、言わないとか。おかげで江戸の町は、便や生ゴが肥料としてリサイクルされて、非常に清潔に保たれていました。

その点、19世紀初頭には江戸と同じ100万都市であったフランス・パリでは、便をあくまでも汚物と考え、道に投げ落としていたから大変に汚かったそうで、女性は、2階から落ちてくる便を浴びないようにパラソルをさし、道に落ちた便を踏まないようにハイヒールをはき、どこでも便ができるように落下傘みたいなスカートをはいたと伝えられています。そのおかげで、フランスでは下水道が発達したのです。

日本に駐留したアメリカ人が、日本の生野菜に閉口したので、マッカーサーが直々に吉田首相に「この不潔さを何とかしなさい」と苦言を呈して設けられたのが「回虫駆除デー」だったのです。

私たちは月に1度のこの日を楽しみにしていました。海人草という海藻を大きな鍋でぐつぐつと煮て、その煮汁を飲まされるのですが、これが効いて夕方にはお腹のなかの回虫がお尻から出てきます。その長い虫を引っ張り出すのが、非常に気持ちよかったのです。

当時の子どもたちははぼ全員 が「回虫持ち」でした。回虫と毎月顔を合わせているので、慣れっこでした。

それに、引っ張り出した回虫を洗って、翌日学校に持っていくと、ど褒美がもらえたのです。一番長い回虫を出した人は一等賞で、たくさん出した人は最多賞でした。回虫の駆虫デーの翌朝は、みんなの回虫が教壇に山と積まれました。

スギ花粉は昔のほうが多かった

スギをはじめヒノキ、ブタクサ等さまざまな植物の花粉がアレルゲンとなって、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを起こす花粉症は、どんどん低年齢化が進んでいます。その背景には、大気汚染による免疫増強因子の増加や、都市化および住環境の変化、スギの植生・花粉飛散量の増加など、さまざまな因子が関与していると言われてきました。

本当にそうなのでしょうか?

大気汚染はフィルター等の技術のない昔のほうがひどく、スギ花粉だって青から飛んでいます。その頃に花粉症になる人はほとんどいなかったのですから、これらの理由は少し説得力に欠けます。

回虫をはじめとする「寄生虫感染率が急減したこと」が大きく影響しているのかもしれません。

昔の子はスギ花粉まみれだったはずです。スギ花粉といって、竹筒でスギの実をパチンと撃つ遊びのために、花粉でまっ黄色になりながらスギの実をたくさん拾い集めたものです。

女の子に「金髪にしてあげるよ」と言って、花粉を髪の毛にいっぱい塗ってあげたこともあります。女の子にモテたい一心で編み出した遊びですが、女の子にも非常に喜ばれました。私たちの時代は、誰も彼もそんなふうにスギ花粉まみれでしたが、子どもたちは誰も花粉症にはなりませんでした。長じて、花粉まみれの「回虫持ち」だった少年時代のこの経験が、「寄生虫がアレルギーを抑える」研究を始めるヒントにもなりました。

ここまで私は回虫やサナダ虫など寄生虫の話ばかりを並べてきましたが、いまは、「アレルギー反応は寄生虫だけではなく、細菌やウィルスなどの微生物が抑制する」ことがわかってきました。

宿主にやさしいのは、寄生虫も細菌・ウィルスも同じです。彼らは1人では生きられないからこそ、宿主の免疫バランスを保つなどの役割を担ってきたように思います。

細菌やウィルスは、必要以上に排除することなく、ふつうに共生していればよい影響を受けることができるのです。ただし、寄生虫や紳菌・ウィルスのなかで人間に悪さをしないのは、大昔から人間とうまく共生しているものだけです。たとえば、キタキツネに寄生するサナダムシであるエキノコックスや、中国発祥のSARSウィルス、鳥インフルエンザウィルスなど、動物に寄生するものには、人間にとって「怖いもの」もいます。その点は誤解してはいけません。大変なことになってしまいます。

自然と共に暮らしてきた日本人

西洋医学は虫を排除することがきっかけで発見

近現代の日本では、虫はとても嫌われる存在になってしまいました。これは西洋医学の影響かもしれません。というのも、西欧では虫を病原因子と捉え、「排除すべき散」として扱ってきたからです。

このことはWHOの記章に象徴されています。棒に巻きつく蛇を措いたこのデザインは、「旧約聖書」の記述に由来し、ギリシャ神話ではアポロンの息子で医術の神であるアスクレビオスが掲げていたとされるものです。

ただし、本当はへどではありません。「旧約聖書」の舞台になっているアラブ地方に多い、メジナムシという寄生虫です。これに感染すると、皮膚病変部に強い痛みと痔みが生じます。農作業も何も手につかなくなるなど、非常につらい症状です。

それで古来、皮膚の丘疹から棒を用いてメジナムシを引き出す、という治療が行われていました。その治療行為が西洋医学のシンボルマークにまでなったようです。

東洋医学の考え方

一方、東洋医学は寄生虫をどう捉えていたのでしょうか。病気や、ときには死をもたらす、体に棲む虫に怯えた点では西洋人と同じです。ただ、「病気もヒトと一体」と考える東洋人は、寄生虫をヒトと切り離して扱うことはしませんでした。

体に棲みつく虫も自分自身の一部だ」と捉えたのです。当然、日本も昔は体内の寄生虫を自分の「分身」とし、その虫たちが病気を引き起こしたり、意識や感情を呼び起こしたりすると考えていました。それが証拠に、日本語には「虫」のつく慣用句がたくさんあります。「虫がいい」「虫が納まらない」「虫が好かない」「虫が付く」「虫の知らせ」「虫の居所が悪い」「虫も殺さぬ」「虫をわずらう」お腹のなかの寄生虫が、日本人を動かしている原動力であると考えていたのでしょう。

こんなふうに虫の存在を認めると、生き方が楽になります。「自分は気づかなかったけど、虫が教えてくれるんだ(虫の知らせ)」「私はあなたを好きだけど、虫が嫌っているんだ(虫が好かない)」「私は納得しているけど、虫が反発するんだ(虫の居所が悪い)」と、「見えない力」を味方につけることができます。「浮気の虫」というのもあります。

日本人の半数以上が虫持ち

日本人は縄文の昔からずっと、「虫持ち」でした。回虫やギョウ虫をはじめとする寄生虫を「飼って」いたのです。

しかし、現在は回虫にかかっている人はほとんどいません。19500年代に60%を超えていた日本人の寄生虫感染率は、30年でほとんどゼロになっているのです。

人間は縄文時代から寄生虫と共生してきたなかで、それなりに彼らとうまくつき合って健康を維持するようになっていたことが考えられるからです。

寄生虫の多くほ人間の体内で栄養を横取りするけれど、宿主である人間の体内の栄養奪うほどの致命的な害はおよぼしません。人間の死は寄生虫自身の死をも意味するからです。