人の腸内細菌は人類の進化とともに生きてきた

人間の腸内細菌はマウスでは機能しない

これまでは、哺乳類の消化管の細菌にとっては種の違いは重要ではなく、マウスでも人間でも同様に棲み着き、同様に働いていると考えられてきました。

しかし、そうではないことが最新の研究によって明らかにされました。研究報告をしたのは、ハーバード大学のD・カスパー教授らです。カスバ一教授たちは、無菌マウスを3グループ用意して、1つ目のグループには、自然のマウスに棲み着いている腸内細菌を植え込み、2つ目のグループには、人間が持っている腸内細菌を植え込み、3つ目のグループにはラットの腸内細菌を植え込んだのです。

結果は、すべでのグループともに腸内で細菌が繁殖し、増えた細菌数は同じになりました。しかし、3グループの腸管組織や腸管リンパ節を詳しく調べてみると、人間の細菌が増殖したマウスと、ラットの細菌が増殖したマウスの腸管には、無菌マウスと同様にほんの少しの免疫細胞しか見られませんでした。これに対しで、マウスの腸内細菌を植え込んだ一つ目のマウスのグループのみ、しっかりとした免疫細胞が確認されたのです。

人間のための腸内細菌だけが免疫機能を発揮する

この結果からわかることは、腸内細菌はほ乳類の種に合わせて共に進化し、宿主のためだけに免疫機能を強化しているということです。

人類の進化にともなって、人間とともに進化してきた腸内細菌は人間のためだけに働くものなのです。人間には人間のための腸内細菌があり、マウスにはマウスのための腸内細菌があるため、これらを入れ替えても腸内細菌はきちんと機能してくれません。そしで、それらの腸内細菌が失われると免疫機能が損われてしまうのです。

日和見菌を味方にすれば若さを保てる

母と子の腸内細菌は似ている

最近、「母親のビフィズス菌が子どもに受け継がれる」という報告がヤクルト研究所より発表されました。子どものビフィズス菌の遺伝子分布が、母親の持つビフィズス菌のものと一致していることがわかったのです。

さらに、腸内細菌の組成を決めているのは、生まれた直後に接触した人が持っていた菌であるという研究報告が発表されています。

人間の腸内細菌はたいてい母親の腸内細菌と類似し、父親の腸内細菌と似ているという子どもはほとんどいないのです。このように、人間の腸内細菌は乳児期に決まり、その組成は一生変わりません。ここで大きな疑問が出てきます。腸内細菌の組成は一生変わらないのに、なぜ善玉菌が増えると体調がよくて、悪玉菌が増えると体調が悪くなるのでしょうか?

理由はほんの少しのバランスの乱れ

このことを解くカギは腸内細菌の大部分を占める「ファーミキューテス門」の細菌、「バクテロイデーテス門」や「プロテオバクテリア門」の細菌類が握っています。

善玉菌が少し増えると、これらの菌が善玉菌に協力し、逆に悪玉菌が増えると、これらの菌が悪玉菌に協力する。つまり腸内細菌の大部分を占めるこれらの菌は「日和見菌」ではないかと考えられます。

腸内細菌の組成は子どものときにすでに決まっていて、そのまま一生を通して変化しないのですが、問題は腸内細菌の数と、腸内細菌間のほんの少しのバランスの乱れなのです。少しだけ悪玉菌が増えてしまうと、日和見菌はいっせいに悪玉の味方をして腸内環境を一気に悪化させでしまうというわけです。免疫機能が十分働き、人が元気で若く生きるためには、腸内細菌の数とバランスが必要です。

腸内細菌には個性がある

細菌類で個人識別が可能

皆さんの腸に棲んでいる細菌類は個人識別が可能なくらいそれぞれで異なっていることをご存知ですか。私が持っている腸内細菌と同じ構成をした腸内細菌叢を持っている人は世界にだれもいないというわけです。

これまで腸内細菌は培養できる菌のみで説明されていました。しかし、最近ではすべての細菌類が持っている16SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列で細菌類を同定することができるようになりました。

また、「メタゲノム解析」といって細菌全体の遺伝子を解析したりすることで細菌類を調べることが可能になりました。こうした方法で腸内細菌の種類と数を調べてみると、培養できる菌にくらべて今までより種類も数も10倍ぐらい多いことがわかりました。

最新の検査法で腸内細菌の全体像を調べてみると、腸内細菌の約4分の3が納豆などの6発酵食品に含まれている菌、人の皮膚などに存在する菌、土壌菌などの仲間の菌などで構成される「ファーミキューテス門」の細菌だったのです。

次に多いのが日和見感染症などを起こす菌などを含む「バクテロイデーテス門」の細菌類で、次が大腸菌類を含む「プロテオバクテリア門」の細菌類です。

つまり、腸内細菌の大部分は日和見菌だということです。ビフィズス菌など善玉菌などを含む「アクチノバクテリア門」の細菌類はもっとも少なく、腸内細菌全体の10%以下しか存在していませんでした。

生まれてすくの腸内細菌叢の組成はずっと変わらない

そしで、それらの腸内細菌をさらに詳しく調べてみると、その組成は個人個人で異なり、生まれてすぐの腸内細菌叢の組成が死ぬまで変わらないことがわかったのです。

この腸内細菌叢は同じ衣食住環境で育っても、血縁関係が同じであっても、一卵性双生児問でも異なっていました。つまり、同じ家に住んで、同じご飯を食べていて、血縁関係があっても、個人はそれぞれ独自の細菌叢をもっていて、腸内細菌には個性があるということなのです。

私たちの腸内細菌がどのような経緯によって、個性を持つかというと、生まれる環境やその後の生活環境や食習慣が大きく影響しているようです。

1.出産方法

赤ちゃんは、胎内では無菌状態で育ちますので、出産方法でも違いがあります。産道を通って生まれるのか、帝王切開か。産道には、さまざまな菌がいて、それらをどの程度取り込むかによっても違いが生じます。出産した病院によっても、腸内細菌に差があるという研究もあります。

2.生活環境

抗菌剤や除菌剤を多用する過度の衛生状態は、腸内細菌にも影響を与えます。腸内に入ってくる細菌自体も減りますし、腸内細菌自体を傷めつけることになってしまいます。

3.食生活

食物繊維が多い食事、高脂質の食事、保存料を使用した加工食品の食事などによっても、腸内細菌は影響を受けます。人それぞれ持っている腸内細菌叢が違うわけですから、自分の腸内細菌たちを今まで以上に可愛がっていただきたいものです

腸内では縄張り争いが盛んに行われている

腸内で縄張り争いをする3グループ

健康な人の腸内にはこれまで、およそ100兆個、100種の腸内細菌がいるとされていましたが、最新の研究ではその10倍、1000兆個、1000種類以上の腸内細菌がいることが判明しています。

そして、それらは3つのグループに分けることができます。

  1. 善玉菌
  2. 悪玉菌
  3. 日和見菌

の3グループです。一番よく知られているのは、善玉菌のグループでしょう。テレビコマーシャルなどでもよく耳にしますね。
これらは人が健康でいることをサポートしてくれる菌で、強い抗酸化酵素をもっています。ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌、乳酸菌、腸球菌などがその一例です。

これに対して、増えすぎると体内で悪さをするのが悪玉菌です。悪玉菌の酸化酵素は、未消化のタンパク質を腐敗させて毒素を発生させます。その毒素は免疫力を低下させてしまうので、ガンをはじめさまざまな病気のリスクを高めます。また、美容に悪影響を及ぼし、老化を促しもします。代表的な悪玉菌はウェルシュ菌です。

助け合う善玉菌と悪玉菌

悪玉菌の悪いところばかりを挙げてしまいましたが、悪いことをするばかりではありません。体外から入ってくる有害物質をやっつける働きをしてくれるので、悪玉菌もまた腸内には必要な菌なのです。

勘違いされやすいのですが、悪玉菌といってもそれ自体が強い毒性をもっているわけではありません。健康で免疫力が高い人なら、悪玉菌の毒性で体調を崩すことはないのです。悪玉菌が病原性を振るうのは、免疫力が下がっているときだけです。

悪玉菌と善玉菌とはエネルギーのやりとりをしている、ということも最近わかってきました。そもそも腸は本当に害になる病原菌が侵入してきたら下痢などの症状を起こし、懸命に排除しようとしますが、ウェルシュ菌や大腸菌程度の悪玉菌であれば、その存在を許容しているのです。
なぜなら、善玉菌が歯が立たない病原菌などを悪玉菌が退治してくれることさえあり、腸全体でみれば、善玉菌と悪玉菌とはうまいバランスで成り立っているからです。

理化学研究所の研究チームによる、病原性大腸菌o-157とその予防効果があるビフィズス菌との関係についての研究があります。核磁気共鳴法(NMR)を使って、双方の菌が作り出すアミノ酸などの有機物を分析し、腸内での関係性を調査したものです。

この研究ではビフィズス菌が果糖などの糖分を取り込んで酢酸を作り、o-157の出すシガ毒素から腸を守っていることがわかりました。
しかし、その際、o-157の数や放出される毒素の量はビフィズス菌を与えても減ってはいなかったのです。

さらにたいへん興味深いことがわかりました。ビフィズス菌が糖分などからアミノ酸を作り、そのアミノ酸をo-157が取り込んでコハク酸などの有機酸に変え、自分のエネルギーにしていたのです。

つまり、o-157はビフィズス菌に退治されるわけではなかったのです。ビフィズス菌はo-157の毒素による腸の炎症は抑えつつも、o-157菌に対しては退治どころか、エネルギーを与えていたということになります。

和見菌を味方につけろ!

そして3つ目のグループが日和見菌で、これは中間菌とも呼ばれでいます。名前のとおり、善とも悪とも言いきれない菌たちを指します。

あまり馴染みはありませんが、実は腸内細菌のほとんどがこの日和見菌です。日和見菌が善とも悪とも言いきれないのは、その時々でどちらの味方にもなるからです。

腸内が善玉菌優位のときは善玉菌のサポートをしますが、悪玉菌優位のときは一緒になって悪さをするのです。善玉と悪玉の両方を見て、優勢なほうに味方するわけで、まさに日和見なのです。腸内細菌のなかで多数を占める日和見菌に悪さをさせないためにも、腸内を善玉優位のバランスに保つことが重要です。

大便はあなたの便り

大便が教えてくれること

私は大便にも「特上」「上」「並」「それ以下」という分類があると思っています。まず「特上」というのは特上の大きさ(100~300グラム) はもちろんのこと、艶のある黄土色でバナナのような形状のものをいいます。

ウンコのあとに「ああ、スッキリした! 」という爽快感を味わえればホンモノでしょう。ぜひこの状態を目指していただきたいものです。

臭いも1つの目安です。健康な腸から排出される便は、強く臭いません。トイレにこもった臭いが不快で耐えられないほどなら、いくら形状がよくでも理想的な便とはいえません。

これに対して、要注意の便というものもあります。次にあげ、その対処法も記しておきますので、日々便の形状を確認のうえ、ご自身の健康状態の把握に努めてみてください。

  1. 水のような便
  2. このような便が出た場合には、色をよく観察する必要があります。普通の便と同じ茶色以外の色だった場合は要注意で、こうした便の状態が続くようであれば、念のため病院で診てもらうことをおススメします。
    大腸の粘膜が弱っている可能性が強いので、刺激物や冷たい食べ物・飲み物を避け、できるだけ消化のいいものを摂るようにしてください。ふだんから、高脂肪・高タンパクの食べ物は控え、野菜中心の食生活に切り替えてください。

  3. 細長く、切れ切れの便
  4. チューブの絵の具のような固さで切れ切れのものは、ダイエットなどの食事制限や不規則な食生活によって食事量が足りないときによく見られます。
    発酵食品と食物繊維を多めに摂っで、便のかさを増やすことが大切です。あわせて運動量を増やし、筋力の増進をはかっでみてください。

  5. 泥のような便
  6. 下痢とまではいかず泥状のときは、大腸のトラブルで水分調整がうまくいっていないことを示します。体に無理をかけず、休養を十分にとり、リンゴ・キャベツ・ダイコン・海藻などの水溶性食物繊維の摂取を心がけてください。

  7. かちかちの便
  8. 褐色で小石のようなコロコロした形状のものは、環境の変化によるストレスや便意を我慢したときによく見られます。
    お茶などの糖類を含んでいない飲み物を少し多めに摂ることで改善します。加熱調理した野菜や海藻を摂ってみてもいいでしょう。

食事をきちんと摂って、正しい生活リズムで暮らしていれば、便意は適切なタイミングでやってきます。そのタイミングでうまく排便できていれば、便が異常に多かったり少なかったりするようなことはありません。
正しいウンコには、整った腸内環境の土台となる正しい生活習慣が必須条件なのです。

肌がいつもキレイな人の腸内環境はキレイ

腸美人=肌美人

肌の細胞を傷つけてしまうトラブルメーカーとして注目を集めているのが活性酸素です。この活性酸素をブロックする大切な役割を腸は持っでいます。

活性酸素は私たちの細胞に作用することで、細胞を変成させガン細胞を作り出したり、老化を促進させたりします。腸内環境がよければ、腸内細菌が活性酸素を退治してくれます。逆に、腸内環境が悪ければ、肌の細胞はもちろん、全身のさまざまな細胞が活性酸素の攻撃を受けることになhノます。

活性酸素の攻撃を受けると、肌にはシミやシワができてしまいます。ほかの細胞も深刻なダメージを受けた結果、老化してしまいます。

つまり、肌の状態を見れば腸の状態、ひいては体全体の老化の程度がわかるというわけです。肌年齢は見た目の良し悪しに関わるだけではなく老化の一つのバロメーターとしても重要なものだといえるのです。

腸内細菌を変えるとネズミが若返った!

ネズミを使った研究で、若いネズミの腸内細菌を老いたネズミの腸に移すと、老いたネズミが若返ったというデータがあります。

逆に、老いたネズミの腸内細菌を若いネズミの腸に移すと、若いネズミは動きが緩慢になり、ヨボヨボと年老いたような状態になってしまったのです。

この結果から、腸内を若い健康な状態でキープできている限り、実年齢にかかわらず、若さを保てるということが証明されています。

高級な化粧品を否定するつもりはありませんが、そういうものは結局、上辺をとりつくろうだけのものでしかありません。いくら高級な化粧品を使っても、常にストレスにさらされ、体に悪い食事を続けていると、体はどんどん老化していくからです。

腸内環境が悪化し、体全体が老化しでいる状態で、肌の表面だけをとりつくろっても美しくはなれません。ぜひ腸内環境の改善で、根本的なお肌の改善を目指しましょう。

常在菌を殺してしまうのはNG

肌を美しく保つ上で、顔の洗い過ぎには注意が必要です。石けんなどで顔を洗いすぎると、汚れだけでなく、皮膚に必要な水分や、異物の侵入を防ぐ皮脂までも除去してしまうことがあります。

また、皮膚の上には皮膚常在菌という細菌がいるのですが、これを洗い況してしまうことも問題です。この菌は保湿や皮膚の脂肪を分解して処理してくれる、なくてはならない菌なのです。

水分や皮脂、常在菌までを洗い流してしまう事と、デリケートなドライスキンになり、日焼けやほこりといった、ちょっとした刺激にも耐えられなくなってしまいます。

顔を洗うなとはいいませんが、石けんの使用はほどほどに。「弱酸性」を謳い、常在菌を守るような洗顔料も最近はできています。洗い過ぎが、皮膚炎や湿疹の原因になることを覚えておきましょう。

酒、たばこ、浮気…困った行動を抑制したい

腸内細菌が人生をも左右してしまう

人が浮気をすること」「酒やタバコに依存すること」「集中力を長く保てないこと」の3つには、共通する理由があります。

腸内細菌が不足して、神経伝達物質のドーパミンやセロトニンをうまく作れないということです。ノーベル医学生理学賞を受…賞したA ・カールソン博士は、ドーパミンは幸せを記憶する物質であるとしています。ドーパミンには、一度好きになってやめられなくなってしまったものを記憶するという性質があるのです。

ですから、脳内にドーパミンが十分にあれば、人は1人の異性だけを愛することができますが、ドーパミンが足りなくなるとそれが困難になります。意外なことに、人が浮気をするのと腸内細菌の不足は、無関係なことではないのです。

さらに酒やタバコをやめられなくなるのも、困ったことにドーパミンが原因です。ドーパミンは「美味しい」という感情も記憶して、脳に刻みつけているのです。

集中できない原因

同様に、腸内細菌の減少からセロトニンが十分に作れなくなると、集中力が続かなくなったり、すぐ疲れてしまったりするようになります。

人体におけるセロトニンの総量は10ミリグラム程度とされていますが、このうちの90%が腸に存在し、そこから脳や体内の臓器に運ばれているのです。
このセロトニンは、ドーパミンとのあいだでバランスを取り、精神状態を平静に保っています。おとなしい性質のネズミの腸内を調べてみると、善玉菌が多く、それらを全部取り出してみたところ、おとなしかったはずのネズミが攻撃的になってしまったという研究報告もあるくらいです。

腸内細菌の不足が招くトラブルは、行動だけではなく、基本的な性格にまでも、その影響は及んでいるのです。

イヤなことがあるとおならは臭くなる!

腸はとてもデリケートな臓器

アカゲザルを用いた実験で、母親から離された乳児の腸内細菌は3日日に減少しはじめました。また、妊娠中のアカゲザルにストレスを与えると、生まれてきた子どもの腸内細菌が少なかったというデータもあります。

母親のストレスが母体を通して、子どもの腸内細菌を減らしてしまうなんて、心と腸との関連性の強さに驚きを感じます。このことは何もサルに限った話ではありません。

旧ソ連では、宇宙飛行士の腸内環境に関する調査が行なわれました。宇宙に行く前から飛行士の腸内バランスは変化しはじめ、宇宙飛行中には善玉菌が減り、悪玉菌が増えて、オナラが臭くなったといわれています。

NASA(アメリカ航空宇宙局)も同様の研究をしていて、宇宙船に搭乗した3人の宇宙飛行士の腸内では極度の不安と緊張にさらされると悪玉菌とされるバクテロイデス菌が増加していました。

これらは宇宙飛行士が普段の生活とはかけ離れた環境におかれたことで、強いストレスを感じたことが一因だと考えられでいます。また、阪神・淡路大震災前後での被災者を比較したデータもあります。これも同様に、被災者たちの腸内で悪玉菌が増えていました。

ストレスが悪玉菌を増加させる

なぜ、ストレスで悪玉菌が増えたのでしょうか。これに関して、九州大学の須藤教授らの興味探い研究があります。ストレス時に腸で放出される「カテコテミン」という神経伝達物質が、大腸菌の増殖を促し、病原性を高めることがわかりました。

つまり、有害なストレスを受けると、腸が刺激され、悪玉菌を直接的に増やしてしまうのです。日々の生活のストレスと腸内環境が無縁だとはいえないことがおわかりいただけたでしょうか。人間関係や過労や夜更かしなど毎日のストレスの積み重ねが腸内環境を悪化させることを覚えでおいでください。

心の病をできるだけ早く改善したい場合は腸内環境

幸せ物質のカギを握る腸内環境

現在のうつ病治療の中心は投薬療法となっていますが、以前から私はそのことに不満を覚え、異論を唱え続けています。

現在、日本ではうつ病の患者さんが増え続けており、2008年には104万人を超えました。そのうち、2人に1人は再発しているといわれています。この数字は、現在の治療法ではうつ病などの精神疾患を完全に治癒することが難しい、ということを示しでいるのではないでしょうか。

一般的なうつ病の投薬治療には、脳内のセロトニンを増加させる薬が使われています。セロトニンは幸せを感じるホルモンの一種で、これが脳に十分にあるとうつ病にはならないとされています。しかし、薬でセロトニンをただ増加させただけで治るほど、うつ病は単純な病ではありません。

治るどころか薬の副作用で攻撃的な性格になったり、最悪な場合は自殺をしてしまったりすることすらあります。また精神科医療そのものが「病気」かどうかもあいまいな症状をすべて病気と位置づけ、薬を投与することで利益としている側面もあるのではないかと考えています。

医者にかかることが痛気を作ることになりかねない現状があるのです。

腸の快適さは「心の病」を防く

そんな危険性が高い投薬治療を続けるより、私は腸内環境の改善を治療として考えるべきだと思うのです。うつ病をはじめとする心の痛を煩う患者さんたちの腸内環境は悪く、腸内細菌が少ないという事実もあります。

セロトニン生成は、腸の大きな役目の1つです。正しい食生活をし、腸が適切に機能していれば、セロトニンが不足することはないと考えられます。

腸内環境の改善こそ副作用のない、究極の「心の病」の治療なのです。

水溶性低分子キトサン「ヌーススピリッツ」を使ってみた効果と使用感

幸せをたくさん感じるためにも腸内環境を整えることが大切

穏やかになった豚

中国科学院の金峰教授が、豚に乳酸菌を飲ませる研究をしています。豚舎の豚はそれまで、人間が近づくと逃げようとして大騒ぎになったそうですが、乳酸菌を飲ませた豚たちはとてもおだやかになりました(あわせていろいろな病気も治り、肉の質までよくなったそうです)。

細菌が幸せ物質と呼ばれるドーパミンやセロトニンという脳内伝達物質の前駆体を脳までスムーズに送り届けたためだと思われます。

人が幸せだと感じるのは、脳から分泌される脳内伝達物質が深く関与しています。セロトニンは歓喜や快楽を伝えるもので、ドーパミンはやる気を奮い起こす働きがあります。
セロトニンが不足すると、キレたり、うつ状態に陥ったりするとされています。

脳に幸せ物質が多いと幸せを感じやすい

ドーパミンとセロトニンなどの幸せ物質を増やす方法を研究する過程で、腸内細菌の重要性が明らかになってきました。

スウェーデンのカロリンスカ研究所による研究で、普通の状態の腸内細菌を持つマウスと、持たないマウスを比較した実験が行なわれました。

その結果、腸内細菌を持たないマウスは、成長とともに攻撃的な性格や行動が顕著になり、危険を伴う行動が多く確認されたのです。

また、私はうつ病などの精神疾患のある方の便を調査したことがあります。彼らの便は、例外なく不健康なものでした。腸内に善玉菌はほとんどおらず、悪玉菌がはびこっていて、便は少量で悪臭が強いものばかりでした。

彼らの脳には、「幸せ物質」が少なかったのではないかと推測しています。これらの経験からも、健康な腸はドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質を生成して脳に送り届けるため、精神状態がよくなり、幸せを感じやすくなるといえるのです。

うつ病が急増中 うつ病は誰でもかかりうる病気