2016年 10月 の投稿一覧

母乳はアレルギーの発症を抑える

動物の赤ちゃんは母親の便をなめる

コアラの赤ちゃんは、生まれるとすぐ土をなめたり、お母さんの便をなめたりします。これは、土のなかやお母さんの便のなかにある細菌類をお腹に入れないと、コアラの餌であるユーカリという毒のある葉を無毒化できないからです。

コアラの赤ちゃんは、生まれながらにしてユーカリの葉を無毒化する酵素を持っているわけではありません。だから本能的に、土をなめたりお母さんの便をなめで、自分の腸内細菌を増やそうとするのです。

パンダの赤ちゃんも同じです。パンダの体には餌の堅い笹の葉を消化する酵素がないために、生まれるとすぐに土をなめたり、お母さんの便をなめて細菌をお腹に入れます。腸内細菌が笹の歯を消化してくれるからです。

また、ウサギは下痢をすると、元気なときの自分の便を食べます。この行為には「腸を元気に保ってくれている細菌を膿のなかに取り入れて、腸内環境を整える」という目的があったのです。つまり、元気な動物の便に含まれる腸内細菌は、ある意味で「腸内環境を整える薬」と考えることができます。

人間も同じです。でも、誤解しないでください。「便をなめなさい」と言っているのではありません。「自分の便を汚いからと無視しないで、毎日ちゃんと見てください」、「腸内細菌には重要皇息味があるのだから、むやみに悪者扱いしないでください」ということです。

無菌で育てられた赤ちゃんは弱くなる?

お母さんのお腹のなかにいる赤ちゃんは無菌状態にあります。栄養はへその緒を通して、血液から吸収しています。

そして、この世に生まれ出た瞬間に、大腸菌をはじめとする細菌が一度に入ってきます。生まれてくるときに通る産道や、お母さんの肛門付近にいる細菌たちと触れ合うことにより、いつの間にかたくさんの腸内細菌が赤ちゃんのお腹に棲みつくようになるのです。

これは自然の摂理で、いわば腸から栄養を吸収するための準備のようなものなのです。腸内細菌は、赤ちゃんが口にしたものを分解・合成して、栄葺につくりかえてくれるからです。

以前、アトピーが治らない赤ちゃんの便を調べたことがありましたが、その結果、40%の赤ちゃんの便から大腸菌がまったく検出きれませんでした。まるで生まれてすぐ無菌室に入れられ、無菌の栄養を与えられたような状態で育てたのでしょう。

そんなことからも、大腸菌をはじめとする腸内細菌にはアレルギーを抑える働きがあると推察されます。

さて、そんな生まれたばかりの赤ちゃんに必要なのは、お母さんのおっぱいです。母乳には赤ちゃんの免疫機能を高める効果があることはよく知られています。

では、母乳のどんな成分が、赤ちゃんにとっていい働きをするか紹介します。

  • オリゴ糖
    ビフィズス菌の餌となって腸内のビフィズス菌を増殖させます。
  • ラクトペルオキシダーゼ
    腸のなかに入ると抗菌作用を発揮します。
  • リゾチーム
    細菌の細胞壁を溶解させます。
  • ラクトフェリン
    鉄と結合することにより、腸内有害菌の増殖を抑制します。
  • 補体成分
    白血球などによる会食(異物を捕食する)作用を促進します。
  • 分泌型IgA
    腸管や気道における細菌・ウィルスの感染を防御します。

このように母乳のなかには体を防御するすばらしい物質が入っているのです。とくに生後3週間くらいまでの初乳には、腸内有害菌の増殖を抑制したり、腸管を成長させるなど、理想的な免疫システムを構築する作用があるのです。

アレルギーのない環境

幼い頓に身につけた免疫力

私が子どもの頃に育った環境というと。父親が結核の専門医だった関係で、私は人気のない田舎につくられた国立の結核療養所の敷地にある宿舎で育ちました。

病原菌の巣と目される宿舎から小学校に通っていたので、大変いじめられました。しかし、私はいじめられても死のうなどと思ったことは一度もありませんでした。いじめっ子と戦いながら自然のなかで元気いっぱいに遊んだものです。

いじめに負けない強い心を持つことができたのは、小学校低学年から世話をしていたヤギのおかげかもしれません。毎朝餌をやり、乳を搾り、天気の良い日は小屋から草地に出してやり、本当にかわいがっていました。
私が学校から帰って来ると、姿の見えないうちからヤギのメェメェ鳴く声が聞こえたのです。ヤギのはか、ニワトリを30羽、ウサギを5羽飼っていたこともあって、自分より弱い者がいることを学びました。

そんな経験から、ペットを飼うのは子どもにとって大変良いことだと思います。情緒面の発達から見て、大き皇息味があります。また、遊びといえば、田んぼでドジョウを捕ったり、カエルをつかまえて肛門に麦わらを突っ込み、そこから息を吹き込んでお腹をパンパンに膨らませたり、トンボの尾を切って飛ばしたりしました。

少年時代は、いつも泥んこになって転げ回っている自然児でした。

ぉかげで私は、70歳を過ぎてもなお、いたって健康です。大人が「汚い」と顔をしかめるような環境のなかで自由に遊び、細菌やウィルスにさらされる機会が多かったため、幼いうちに免疫力がついたのだと思います。

お腹の中は回虫がいっぱい

子どもの頃の私のお腹には、回虫がいました。1950年代は、それが当たり前でした。

とくに私は、畑に行ってトマトを丸かじりしたり、収穫後の白菜の根っこを生でむしゃむしゃ食べたりしていましたから、回虫がいつもお腹にいました。回虫はだいたい生野菜から体内に侵入します。当時は肥料が人糞で、発酵させて使っていましたが、なかには少し「ナマの人糞」が残っていることもあったようで、その人糞のなかに、回虫の卵がそれこそうようよといたわけです。回虫は1日に20万個の卵を産みますからすぐに感染してしまいます。

日本人はそのころ生野菜などは食べず、お漬物か煮物、せいぜいおひたしにして食べていました。それが、回虫を無防備に体内に取り込ませない知恵でした。
しかし、畑で生野菜を食べていた私のお腹のなかは「回虫だらけ」になったのです。

戦後になって、各市町村に「寄生虫予防会」が組織され、小中学校を中心に「回虫駆除デー」が設けられました。きっかけは、アメリカ人が日本に進駐したときに、生野菜を食べたら回虫だらけだったことでした。西洋では日本と違って肥料に人糞を使わなかったので、野菜を生のサラダにして食べる習慣があったのです。当時、日本に駐留したアメリカ人は、免疫のないまま一気に大量の寄生虫が体内に入ったため、お腹をこわして、相当苦しんだようです。

日本で人糞を肥料にするようになったのは、徳川家康が四十万人の兵を連れて関東にやって来たときからです。関東の土地は痩せているので、四十万人の食料を確保するのが大変でした。それで、人糞を肥料にして、野菜を育てることにしたことがきっかけです。

だから、江戸時代は便の値段がものすごく高かったのです。長屋の大家さんが長屋の便をすべて管理しており、「家賃はいらないから立派な便をしてくれ!」と言ったとか、言わないとか。おかげで江戸の町は、便や生ゴが肥料としてリサイクルされて、非常に清潔に保たれていました。

その点、19世紀初頭には江戸と同じ100万都市であったフランス・パリでは、便をあくまでも汚物と考え、道に投げ落としていたから大変に汚かったそうで、女性は、2階から落ちてくる便を浴びないようにパラソルをさし、道に落ちた便を踏まないようにハイヒールをはき、どこでも便ができるように落下傘みたいなスカートをはいたと伝えられています。そのおかげで、フランスでは下水道が発達したのです。

日本に駐留したアメリカ人が、日本の生野菜に閉口したので、マッカーサーが直々に吉田首相に「この不潔さを何とかしなさい」と苦言を呈して設けられたのが「回虫駆除デー」だったのです。

私たちは月に1度のこの日を楽しみにしていました。海人草という海藻を大きな鍋でぐつぐつと煮て、その煮汁を飲まされるのですが、これが効いて夕方にはお腹のなかの回虫がお尻から出てきます。その長い虫を引っ張り出すのが、非常に気持ちよかったのです。

当時の子どもたちははぼ全員 が「回虫持ち」でした。回虫と毎月顔を合わせているので、慣れっこでした。

それに、引っ張り出した回虫を洗って、翌日学校に持っていくと、ど褒美がもらえたのです。一番長い回虫を出した人は一等賞で、たくさん出した人は最多賞でした。回虫の駆虫デーの翌朝は、みんなの回虫が教壇に山と積まれました。

スギ花粉は昔のほうが多かった

スギをはじめヒノキ、ブタクサ等さまざまな植物の花粉がアレルゲンとなって、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを起こす花粉症は、どんどん低年齢化が進んでいます。その背景には、大気汚染による免疫増強因子の増加や、都市化および住環境の変化、スギの植生・花粉飛散量の増加など、さまざまな因子が関与していると言われてきました。

本当にそうなのでしょうか?

大気汚染はフィルター等の技術のない昔のほうがひどく、スギ花粉だって青から飛んでいます。その頃に花粉症になる人はほとんどいなかったのですから、これらの理由は少し説得力に欠けます。

回虫をはじめとする「寄生虫感染率が急減したこと」が大きく影響しているのかもしれません。

昔の子はスギ花粉まみれだったはずです。スギ花粉といって、竹筒でスギの実をパチンと撃つ遊びのために、花粉でまっ黄色になりながらスギの実をたくさん拾い集めたものです。

女の子に「金髪にしてあげるよ」と言って、花粉を髪の毛にいっぱい塗ってあげたこともあります。女の子にモテたい一心で編み出した遊びですが、女の子にも非常に喜ばれました。私たちの時代は、誰も彼もそんなふうにスギ花粉まみれでしたが、子どもたちは誰も花粉症にはなりませんでした。長じて、花粉まみれの「回虫持ち」だった少年時代のこの経験が、「寄生虫がアレルギーを抑える」研究を始めるヒントにもなりました。

ここまで私は回虫やサナダ虫など寄生虫の話ばかりを並べてきましたが、いまは、「アレルギー反応は寄生虫だけではなく、細菌やウィルスなどの微生物が抑制する」ことがわかってきました。

宿主にやさしいのは、寄生虫も細菌・ウィルスも同じです。彼らは1人では生きられないからこそ、宿主の免疫バランスを保つなどの役割を担ってきたように思います。

細菌やウィルスは、必要以上に排除することなく、ふつうに共生していればよい影響を受けることができるのです。ただし、寄生虫や紳菌・ウィルスのなかで人間に悪さをしないのは、大昔から人間とうまく共生しているものだけです。たとえば、キタキツネに寄生するサナダムシであるエキノコックスや、中国発祥のSARSウィルス、鳥インフルエンザウィルスなど、動物に寄生するものには、人間にとって「怖いもの」もいます。その点は誤解してはいけません。大変なことになってしまいます。

西洋医学 歴史 自然と共に暮らしてきた日本人は 寄生虫などの虫を排除する医学

西洋医学 歴史 自然と共に暮らしてきた日本人にとって西洋医学が正解なのか考えてみましょう。ヨーロッパにおいては、「医」の起源は古代ギリシアのヒポクラテスとされています。 その後古代ローマのガレノスがアリストテレスの哲学(学問の集大成)を踏まえ、それまでの医療知識をまとめ、学問としての医学が確立されたと言われています。 ガレノスはその後、数百年ものあいだ権威とされました。

西洋医学 歴史 虫を排除することがきっかけで発見

西洋医学 歴史

西洋医学 歴史

近現代の日本では、虫はとても嫌われる存在になってしまいました。これは西洋医学の影響かもしれません。というのも、西欧では虫を病原因子と捉え、「排除すべき物」として扱ってきたからです。

このことは WHO の記章に象徴されています。棒に巻きつく蛇を措いたこのデザインは、「旧約聖書」の記述に由来し、ギリシャ神話ではアポロンの息子で医術の神であるアスクレビオスが掲げていたとされるものです。

ただし、本当はほどではありません。「旧約聖書」の舞台になっているアラブ地方に多い、メジナムシという寄生虫です。これに感染すると、皮膚病変部に強い痛みと痔みが生じます。農作業も何も手につかなくなるなど、非常につらい症状です。

それで古来、皮膚の丘疹から棒を用いてメジナムシを引き出す、という治療が行われていました。その治療行為が西洋医学のシンボルマークにまでなったようです。

西洋医学 反対 東洋医学の考え方

一方、東洋医学は寄生虫をどう捉えていたのでしょうか。病気や、ときには死をもたらす、体に棲む虫に怯えた点では西洋人と同じです。ただ、「病気もヒトと一体」と考える東洋人は、寄生虫をヒトと切り離して扱うことはしませんでした。

体に棲みつく虫も自分自身の一部だ」と捉えたのです。当然、日本も昔は体内の寄生虫を自分の「分身」とし、その虫たちが病気を引き起こしたり、意識や感情を呼び起こしたりすると考えていました。それが証拠に、日本語には「虫」のつく慣用句がたくさんあります。「虫がいい」「虫が納まらない」「虫が好かない」「虫が付く」「虫の知らせ」「虫の居所が悪い」「虫も殺さぬ」「虫をわずらう」お腹のなかの寄生虫が、日本人を動かしている原動力であると考えていたのでしょう。

こんなふうに虫の存在を認めると、生き方が楽になります。「自分は気づかなかったけど、虫が教えてくれるんだ(虫の知らせ)」「私はあなたを好きだけど、虫が嫌っているんだ(虫が好かない)」「私は納得しているけど、虫が反発するんだ(虫の居所が悪い)」と、「見えない力」を味方につけることができます。「浮気の虫」というのもあります。

日本人の半数以上が虫持ち 寄生虫

日本人は縄文の昔からずっと、「虫持ち」でした。回虫やギョウ虫をはじめとする寄生虫を「飼って」いたのです。

しかし、現在は回虫にかかっている人はほとんどいません。19500年代に60%を超えていた日本人の寄生虫感染率は、30年でほとんどゼロになっているのです。

人間は縄文時代から寄生虫と共生してきたなかで、それなりに彼らとうまくつき合って健康を維持するようになっていたことが考えられるからです。

寄生虫のイメージの多くは寄生虫の恐ろしさや危険性ばかりです。寄生虫の中には、脳に寄生するものが数多くあり、有鉤嚢虫(ゆうこうのうちゅう)はその1つです。有鉤嚢虫は、有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)(サナダムシの一種)の幼虫で、ブタに寄生しています。

人がそのようなブタの肉を十分加熱せずに食べた場合、腸の中で成虫(有鉤条虫)となり、糞便とともに虫卵を体外に排出することになります。この虫卵に汚染された水や食品を摂取することにより、ブタだけでなく人も感染し、体内で有鉤嚢虫になります。有鉤嚢虫は体の様々な場所に寄生しますが、脳に寄生することもあります。多数の虫卵を摂取することにより、脳が虫だらけになっていることがあります。

有鉤嚢虫が脳に寄生すると、体が痙攣したり、意識を失ったり、失明したり、場合によっては死亡することがあります。有鉤嚢虫症は、他の人の大便が原因となる以外にも、自分の体内に寄生している有鉤条虫からうつってしまうこともあります。

エキノコックス症は、主に肝臓に寄生するエキノコックスという寄生虫の幼虫に寄生されることによっておこる病気です。主にキツネやイヌなどの糞に虫卵が含まれており、この虫卵で汚染された食品や水を摂取することによりエキノコックスに寄生されます。

寄生された後、数年(1~30年)はなにも自覚症状はないのですが、その間にエキノコックスは、少しずつ肝臓などの臓器を食べ続けており、自覚症状が現れたときには、肝臓は寄生虫に食い荒らされて蜂の巣のようになっています。残った部分も肝硬変を起こして正常な部分がほとんど残っていません。さらに、肝臓から漏れ出た寄生虫が脳、その他の臓器や骨髄などに寄生し、死亡します。

バンクロフト糸状虫は、蚊にさされることによってうつる寄生虫です。症状が全くないことも少なくないのですが、重症化することもあります。この寄生虫はリンパ管、腕や足などに寄生しますが、陰嚢や陰茎に寄生することもあります。

陰嚢に寄生すると陰嚢が巨大化し、重症の場合には陰嚢が大きくなりすぎて歩くのが困難になります。江戸時代に陰嚢が巨大化した芸人が複数存在したことが文献(「想山著聞奇集」「東海道中膝栗毛」「北斎漫画」)に記載されています(大きいもので五斗=90リットルくらいあったようです)が、これらの芸人はバンクロフト糸状虫に感染したものだろうと言われています。

寄生虫の多くほ人間の体内で栄養を横取りするけれど、宿主である人間の体内の栄養奪うほどの致命的な害はおよぼしません。人間の死は寄生虫自身の死をも意味するからです。

冷え改善 治療 で 西洋医学 と 東洋医学 の 違い は?

現代人特有の症状