免疫のバランスは西洋医学では答えがだせない

寄生虫の分泌物から薬ができる

寄生虫の分泌物がアレルギーを抑えることを突き止めると「これは花粉症やアトピー、ぜんそくなどを一発で治す薬になる」と考えました。

いま、「遺伝子組み換え食品」が話題になっていますが、これもこういうやり方でつくられています。

そうして寄生虫の分泌物をたくさん手に入れると、次にネズミにアトピーを発症させて、この物質を投与する実験に入りました。ネズミにストレスを与えるため、ネズミが食事しょうとすると必ず尾っぽに電流を流すという方法です。

ネズミは餌を食べようとするたびに尾っぽに電流を受けるとひどくストレスを感じます。

生き物にとって、食べるという行為は生きるということです。この実験を繰り返すうちに免疫力がひどく落ちて、1ヶ月もすると大変にひどいアトピーになってしまいました。

よくお母さん方は子どもの食事中に「こぼしちゃダメ」「残しちゃダメ」「落ちたものを拾っちゃダメ」などと叱ったり、「もっと勉強しなさい」などと小言を言ったりしていますが、食事中にストレスを与えると、子どもの免疫力が落ちてしまいますので、注意してくだきい

「食事は楽しく」というのが、免疫力を下げない鉄則でもあるのです。

次に、皮下の肥満細胞がどんどん破れてひどいアトピーになったネズミに、寄生虫の分泌物を注射しました。その結果、1回の注射でひどいアトピーがすっかり治ってしまいました。けれどことはそう簡単ではありません。

アレルギーは治ってもガンになる!

「新薬」はアトピーを一発で治したのですが、これを薬として用いると、ウィルス感染やガンになりやすい体質になってしまうことが判明したのです。看過できない重大な副作用です。

人間の免疫には、アレルギーなどに対抗する液体性免疫をつくるTh2 と、ガンなどに対抗する細胞性免疫をつくるThlという2つの工場があります。「新薬」を投与すると、Th2が強大になるかわりに、Thlを小さくしてしまいます。Thl とTh2による免疫バランスを崩してしまったのです。

人間の体には、毎日3千個、多い人なら7千個のガン紳胞が生まれています。それなのにガンにならないのは、NK細胞や、Thlが産生するインターフェロンなどが、日々ガン細胞を監視して、見つけてはやっつけてくれているからです。

そのガン退治に重要な役割を果たすThlが小さくなると、出てくるガン細胞を見逃してしまう可能性が高くなるのです。年をとるとガンになりやすいのも、Thlが小さくなるからです。

寄生虫の分泌物は、Th2の機能を高めてアレルギー反応を抑えたもののTh1の機能を低めてガンになりやすい体質にしてしまったのです。

ここで「それならば、Thlを大きくする薬を開発して、同時に投与すればいいじゃないか」と思う人もいるでしょう。私もその可能性を探りました。しかし、寄生虫からTh1を刺激する物質を探して注射したところ、それに対する抗体ができてしまったのです。結局、この物質を直接お腹に入れないとダメなんだとわかりました。

理論上はお腹のなかにチェンバーという箱を入れて、そこから抗原物質を吸収するようにすれば可能ですが、そんなことは現実問題不可能です。これを人間の体内でやってのける寄生虫はすどいと、再認識したしだいです。

ここに至って、アレルギーを一発で治す「新薬」の夢は絶たれました。結果、わかったのは、「アレルギーやガンのような免疫バランスに関わる病気は、西洋医学的アプローチでは解決できない」ということです。

西洋医学は、1つの薬で1つの病気を治すというものです。西洋医学から見るとアレルギーを一発で治したのですから、そのような新薬を発見した勝利者といえます。しかし、ガンやアレルギーなどのバランスの病気には西洋医学は無力で、東洋医学的なアプローチが必要なのです。

東洋医学は、人間の体を総合的に診て、いろんな成分を含む自然の生薬を投与したり、体温を上げたり、バランスのいい食生活にしたりすることを指導します。つまり、自然治癒力を導き出すようにしたのです。ところが、よかれとして作ってきた現代社会は、そういった自然治癒力を低下するように誘導してきたのです。

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