腸 進化 の歴史賢い臓器の腸はそれらが進化して他の臓器に進化しました。腸の「すごさ」に気づかずに生活しているのですが、人類の進化と大きく関係している臓器なのです。腸の機能の1つが、体内に入った有害物質をブロックし、排除することですが、そのような働きを、腸は脳の指令なしに自分の判断で行なっています。
腸 進化 脳も肺腸から進化した
腸の驚くべき「すごさ」の秘密は人類の進化、ひいては生物の進化にあります。生物が地球上に現れたのは、約40億年以上前のことです。
たった1つの細胞からなる単細胞生物として出現し、それから複数の細胞をもつ多細胞生物になっていきました。多細胞生物は、生き延びるために進化する過程で、初めにある器官を作り出します。それが腸です。
発生学的にもっとも原始的な器官が、実は腸なのです。今でも腔腸動物といって、イソギンチャクやヒドラなどの腸だけしかない動物がいます。
脳や心臓をはじめ、あらゆるものがありません。これらの動物は、口と肛門も分かれておらず、入り口から体内に入った食べものを消化し、入り口から排出するという、いわば「腸だけ」ともいえる単純な構造です。脳のない腔腸動物たちは、腸でさまざまな判断を下しているのです。
進化の過程で腸は次のように、さまざまな臓器に進化を遂げたといわれています。
腸は、消化・吸収だけでなく、免疫機能、ホルモン分泌と、多様なはたらきをすることをご説明しましたが、なぜこんなに多くの機能を持っているのでしょうか。それを探るヒントは、動物の進化の歴史にあります。
脳、心臓、腸のうち、動物の進化の過程で最初に出来た臓器は何だと思いますか?正解はなんと、腸なのです。動物は植物と違い、太陽の光からエネルギーを作る「光合成」ではなく、ほかの生物からエネルギーを奪う「消化」という方向へ進化しました。そのために先に必要な器官が腸だったわけです。
- 栄養分を琴える細胞が腸から分離して肝臓に
- 血中の糖分を調整するホルモンを分泌する細胞が分離して膵臓に
- 食物を一時貯蔵するため腸の前部が胃に
- 酸素を吸収する細胞が肺に
- 腸の入り口、つまり口にある神経の集合が脳に
このように、生物の進化の歴史からみても、腸はあらゆる器官の源だといえるでしょう。腸は、体の多くの器官や神経と密接にかかわっていますが、このような進化の経緯があったからなのです。
腸 脳の指令なしに独自に働ける
腸の機能の1つが、体内に入った有害物質をブロックし、排除することですが、そのような働きを、腸は脳の指令なしに自分の判断で行なっています。
腸は独自に、状況に応じて解毒作用を行なったり、肝臓や膵臓などほかの器官に指令を出し、適切な処理法を決定するのです。こうしたことができるのは脳以外の臓器ではたいへん珍しく、全身麻酔をかけられても、脊髄損傷で脳死状態になっても、腸が正常に働き続けるのはそのためなのです。
腸にトラブルや病気があると、この独自の判断能力に支障をきたし、それは当然、体内システムにも影響を及ぼします。腸はこの独自の機能のため、「第二の脳」とも呼ばれていますが、それだけでなく、さらに進んで、「腸は脳よりかしこい」という味方もえきます。
また、「脳腸相関」という言葉があるほど、脳と腸とには切り離すことのできない密接な関係があるのです。意外に思われるかもしれませんが、考えることもできる臓器が腸で、脳で考えたことは腸に、腸で考えたことは脳に、ダイレクトに伝わるようになっています。
この密接な関係も、腸が単に重要な器官であるだけにとどまらず、「脳よりかしこい臓器」と言える理由なのです。
腸 あらゆる器官の源
- 腸の入り口、つまり口にある神経の集合が → 脳
- 酸素を吸収する細胞が「肺」に
- 食物を一時貯蔵するための腸の前部が → 胃
- 栄養分を蓄える細胞が腸から分離して → 肝臓
- 血中の糖分を調整するホルモンを分泌する細胞が分離して → すい臓