セシウム137とストロンチウム90の排泄には、カリウム、カルシウムといったミネラル不足に注意する

日本は甲状腺の害がでにくい

2011年(平成23年)3月11日の大震災による福島第一原子力発電所の事故が、日本全体に深刻な被害をもたらしましたが、最近は、メディアの報道が少ないせいかやや忘れられ気味です。しかし、日々放出され続けている放射性物質が健康に与える影響を、不安に思う人は多いでしょう。

放射性物質が含まれるものを口にした場合、放射性物質の吸収をおさえて、放射線による影響を軽減することができます。その工夫の1つが、食生活です。旧ソ連(現荏のウクライナ) で起こった、チェルノブイリ原発事故を参考に考えてみたいと思います。

チェルノブイリ原発事故では、近郊のキエフなどで、子供たちに甲状腺ガンが多発しました。

一方、ポーランドでも大量の放射能を感知しましたが、ポーランドの子供は、ほとんど甲状腺ガンを発症していません。これはなぜでしょうか。

甲状腺には、ヨウ素が多く存在します。このヨウ素が不足していると、体内に入った放射性ヨウ素が甲状腺にたまって、ガンを引き起こすのです。

海から離れたキエフでは、ヨウ素が豊富な海藻などを摂取する習慣がなく、慢性的にヨウ素が不足していました。しかし、北部が海に面したポーランドでは、ヨウ素を摂取する機会に恵まれていました。この食習慣の違いが、ガンの発症率に影響した可能性があるのです。

また、ポーランド政府は、原発事故後にヨウ素剤をすぐ住民に配布したのに対し、旧ソ連ではそうした配慮がなかった点も、明暗を大きく分けたと考えられます。

日本でも、コンプなどの海藻は非常に身近な食材です。また、厚生労働省の定めた暫定基準値を超えて放射性物質が検出された食材は、出荷が制限されるため、市場で流通していません。

このため私は、食品による内ひばく部被曝(呼吸や食事によって体内に入った放射性物質から放射線を浴びること) に限っていえば、日本ではキエフのような甲状腺への影響は出にくいのではないか、と考えています。

放射性物質吸収のリスクを下げる

さて、今回の原子力発電所の事故で、多くのかたが危倶されているのが、セシウム137とストロンチウム90という放射性物質による害です。原発から離れて住んでいる人でも、これらの物質が食物に付着して流通し、口に入るのではと不安を口にしています。

結論から言えば、出荷制限も行われている現在、日本の店頭に並んでいる食物は、すべて安全だといえましょう。通常の調理法で、普通に食べて大丈夫です。たとえ、暫定基準値を超えた放射性物質が付着した食物を間違って食べたとしても、1~2回食べたくらいでは全く害にはなりません。

セシウム137の物理的半減期(発する放射線量が半分になるまでの期間)は30年です。しかし、体内に入ったセシウムは、ずっとそこにとどまっているわけではありません。平均して100日くらいで、半分が体外に排出されてしまいます。

ただし、長期間継続して.食べたら問題が生じる可能性があるので、それを想定して規制値を割り出し、安全を見込んで出荷制限が行われているわけです。

このように、現在、危機が切迫しているわけではありませんが、少しだけ身の回りに放射能の汚染があると仮定し、どうしたら安全に暮らせるかを、それぞれが考えたほうがいいのではないかと思います。

その大きなポイントがへバランスの取れた食事なのです。不足する栄養がないよう、日々心がけることが重要で、なかでも注意したいのがカリウムとカルシウムです。

カリウムは、放射性物質のセシウムと非常に構造が似ているため、人間の体はセシウムとカリウムを区別できません。セシウムが体に吸収されると、カリウム同様に組織や筋肉などに取り込まれ、体全体に分布します。

しかし、すでに体内にカリウが不足せずにあれば、セシウムが体内に入ったとしても、余ったカリウムと同様に、.尿中に排出されます。つまり、セシウムの吸収を防ぐことができるわけです。逆に、カリウムが不足していれば、セシウムが余分に吸収されるおそれがあります。

また、カルシウムは、放射性物質のストロンチウムと構造が似ています。体内に入ると、ストロンチウムはカルシウムと同様に骨に取り込まれ、将来的に骨肉腫(骨にできる悪性腫瘍)などを引き起こすおそれがあります。しかし、体内でカルシウムが足りていれば、体がストロンチウムを余分に吸収するリスクを下げることができます。

ちなみに、カリウムはアボカド、ホウレンソウ、納豆などに多く含まれ、カルシウムはチーズなどの乳製品、油揚げなどのダイズ製品に豊富です。バランスの取れた食生活が重要なのです。

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