カキ、タコ、イカ に含まれる タウリン は放射線の害も防ぐ タウリンはたんぱく質が分解される過程で出来るアミノ酸に似た物質です。 貝類やイカ・タコといった軟体動物に多く含まれています。人間には体重の0.1%のタウリンがあるといわれ、心臓・肺・肝臓・脳・骨髄などのさまざまな臓器や組織に広く含まれていることから、生命の維持に必要な成分と考えられています。
戦争をしていた頃は大活躍 カキ、タコ、イカ に含まれる タウリン は放射線の害も防ぐ
タウリンは、TV CMなどもよく耳にすることになった成分です。
タウリンは、1827年にの胆汁中に発見された成分です。その後の研究で、植物以外のすべての生物に含まれており、人間でもあらゆる臓器に存在していることがわかりました。
タウリンは心臓、筋肉、肝臓、腎臓、肺、脳などに多く存在しています。生命活動において重要な臓器に、多く含まれているということは、タウリンが重要な役割を果たしているということでもあります。
実際、タウリンの薬効は、経験的に古くから知られていたようです。中国最古の薬学書の「本草綱目」の中にも、漢方薬の主要な材料である「牛黄」が記されていますが、その主成分の1つはタウリンです。
また、日本では、戦時下に、タウリン成分をたくさん含むタコの煮汁を作り、兵士たちに疲労回復のために飲ませていました。例えば、零戦などの戦闘機や潜水艦の操縦士は、暗闇の中での活動が多かったため、大変な緊張や疲労が伴ううえに、暗いところでの視力が必要でした。そんな操縦士の疲労回復や視力の回復に、タコの煮汁が有効だったという話は有名です。
健康を維持するためには、生体防御としての免疫機能が大変重要です。タウリンは、実はこの免疫力にも、大きな影響を与えています。
免疫力を左右するのは、リンパ球などの白血球です。例えば、体に細菌やウィルsが侵入したときに、白血球が細菌と闘ってくれれば、感染を防ぐことができます。その白血球中には、血清(血液から細胞成分や凝固成分を除いた液体)の500倍ものタウリンが含まれていることから、タウリンは免疫機能を調整する重要な役割があるということです。
青魚の血合い部分にも多く含まれる
さて、最近は、だいぶニュースで取り上げられることも減りましたが、福島第一原子力発電所の事故関連で放射線被曝をすると、白血球が著しく減少することが知られています。その際には、尿中のタウリンの排泄量も顕著に増加します。これは、タウリンが放射線の害を防ぐために、体の修復に大量に用いられている可能性を示しています。
このことは、京都大学医学部で、マウスを使って行われた実験でも明らかになっています。放射線を照射したマウスにタウリンを投与したところ、生存率が最大で約2倍にも上があることがわかりました。
また、ガンに対しても有効であることが確認されています。マウスに発ガン物質を投与して肝臓ガンを誘発させる実験では、タウリンを同時に投与した場合、発ガン率を3分の1程度に低下させることができました。せんいにくしゆヒト線維肉腫細胞を用いてガン転移を調べたところ、タウリンはガンの転移を半分に抑制することもわかっています。
普段、1日に100~400ミリグラム程度のタウリンを食事から摂取しています。とはいえ、放射線を浴びたり、病気の脅威にさらされていたりする場合には、それだけでは不十分です。体の修復に役立てるためには、できれば1日に800~1000ミリグラムくらいは、食事から摂取するのが望ましいと考えられます。
そのタウリンを多く含む食材といえば、なんといっても魚介類です。アジ、イワシ、サバなどの近海魚から、マグロ、カツオといった遠洋魚、イカ、タコ、エビからカキ、サザエ、アサリなどの貝類まで、多くの魚介類に豊富に含まれています。
特に、カツオやサバなどでは、白身と比べて血合いの部分に5~10倍もの多くのタウリンが含まれています。また、カキの場合、穀つきのものは、むき身と比べて2倍も多くタウリンを含有しているので、殻付きを選びましょう。
タウリンは水に溶けやすいので、調理中に多くが煮汁に出てレまいます。煮る場合には、その煮汁ごと食べるとたっぷりタウリンを摂取することができます。
タウリンが豊富な食品
(mg/100gあたり)
- カキ(1178)
- マダコ(593)
- ヤリイカ(342)
- 牛タン(238)
- アサリ(211)
- アジ(206)
- サンマ(187)
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