四診
漢方の診断法は、前述したとおり治療法を決定するためのものです。漢方が集大成された時代は、検査器具や診断設備のない時代でしたから、診断は現代医学と異なって、すべて五官の感覚のみに頼って行われています。診断にあたっては、四診を使います。要診(視覚)、問診(聴覚)、問診(問答)、切診察(触覚)の四つです。
具体的には、漢方医は患者の身体の表面にあらわれた症状や当人の訴えによって診断します。
顔面望診
なかでも重要視されているのが、望診です。「上工ハ望診ニヨリテ病ヲシル」といわれ、病人を見ただけで、正確な判断をできるのが名医の条件とされています。望真は、現代医学の視診に相当するもので、漢方医では、全体像、顔面部、舌、眼の望診をとくに重視しています。
顔面望診の基本は、顔は身体の萎縮図であるという考え方を基本に体内の全般的異常を顔面の望診によって診断するものです。
普段と違った顔色が見られるのは、必ず体内のどこかの異常と対応しているからです。顔面のどの部分に、どんな色が現れたら体内のどの部分がどんな状態になっているかを望診によって知ることとが出来ます。
冷えを望診すると…
身体の冷えという症状についてもどの臓器に冷えがあるかを、顔面の部位の色によって判断できます。
まず、冷えの色は、蒙色といって鉛筆の芯の色、墨の黒さとは明らかに違う、ちょっと陰影と見誤りやすいくらいの、湿灰色です。蒙色の現れる顔面の部位と、内臓の関係を箇条書きにしたので参考にしてください。
蒙色望診法は「小腸の宿便」を提唱した二代目・目黒玄竜子先生が30年の歳月と2万人に及ぶ観相体験によって開発された、きわめて信頼の高い病相学です。
冷えの自己診断(目安)
- 疲れやすく、根気や気力がない。
- 冷え性、冷えのぼせ、冷房に弱い。
- 慢性便秘、尿が近い、汗が少ない。
- 胃下垂、腹鳴、腹が張る、食欲不振。
- 生理不順、不妊症、精通がある。
- 肩こり、腰痛、神経痛がある。
- 低血圧症、平熱が低い、アレルギー体質。
- にきび、しみ、肌荒れ
顔色の発現と内臓の関係
- 冷え性で婦人科が弱く、宿便もたまりやすい
- 性線ホルモン、副腎皮質ホルモンの分泌異常
- 下腹部の冷えによる生理不順
- 冷えによる自律神経のアンバランス
- 貧血、疲れやすく気力不足
- 理紋あるいは、胆嚢の冷えによる胆汁分泌不足
- 小腸の宿便、小腸も弱くスタミナ不足
- 大腸が弱く、便秘、古便のある人
- 肝機能弱く、腰痛、便秘、ぢになりやすい
- 子宮の冷え、冷え性で宿便もたまりやすい
- 胃腸の冷えによる吹き出物
- 腎臓の冷え、排尿異常、アレルギー
- 下腹部の冷え、胃腸障害、冷え性
- 首に出るいぼ、冷えによる体内の水分代謝不足が原因